災害リスク情報を積極的に知らせよう
先の西日本を中心とした豪雨は、各地に甚大な被害を与えた。河川の氾濫、土砂崩れなどにより、家屋の浸水害やインフラの断絶などが相次いだ。何より、人的被害は大きい。
今回の災害における土砂災害や浸水域が、事前に自治体が作成していたハザードマップとほぼ一致していた。あらかじめ居住地域などの災害リスクを把握しておくうえで非常に有効であることがあらためて確認されたわけだ。
ハザードマップの作成・周知は平成17年に義務化された。各自治体が取り組みを進め、今ではホームページなどでさまざまな災害リスクを知ることができる。ただ、その周知が徹底されているとは言い難い。
国も手をこまねいているわけではない。例えば、国土交通省は全国の市町村が作成したハザードマップを、ハザードマップポータルサイトにまとめて公開している。「土砂災害警戒区域等」、「津波浸水想定」、「洪水浸水想定」について、好きな場所の危険度などがわかる。
それぞれの災害リスク情報はこれまでも公開されていた。しかし、それをポータルサイトとして一つにまとめることで、より便利に簡単に活用できるようにしているのである。
それでも、いざ自然災害が発生すると大きな被害が発生してしまう。
いつ起こるか分からない災害から身を守るため、暮らしている場所がどのようなリスクを持っているのか、どこに避難すればよいのかを事前に知っておくことは非常に重要だ。
住生活産業を標榜する住宅産業界には、民間の立場から災害リスク情報を周知し、活用を促す取り組みが求められるのではないだろうか。
国土交通省は平成25年から不動産総合データベースの構築に向けた取り組みを進めてきた。不動産にかかわる情報を集約・管理し、消費者に対して適宜適切に提供するものだ。その情報項目の一つとして「ハザードマップ・浸水想定区域等」が入っている。災害リスクの情報は、不動産情報としてはネガティブな要素に入るが、こうした情報を積極的に提供していくことこそ、住宅産業界が担う役割であろう。
不動産総合データベースは、今年の9~10月頃に具体的な方向性が明らかになり、今年度中には運用が開始される予定だ。
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