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スマートロック通じた留守宅サービス本格化へ API公開でサービス創出を加速

実証実験で課題の抽出進む

スマートロックメーカー各社が、スマートロックを核にした留守宅サービスの提供に向けた取り組みを積極化させてきている。スマートロックのAPIの公開や、実証実験の実施、サービス事業者と連携する動きが出てきており、今後、スマートロックを活用した家事代行や不在宅配などのサービスの提供が本格化しそうだ。

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スマートフォンで施錠・解錠などを行えるスマートロック――。米国ではスマートロックを活用した新たなサービスが話題を集めている。昨年秋、アマゾンがスマートロックを活用して、留守宅への宅配を行う「Amazon Key」というサービスを開始。米国の大手スーパーマーケットのウォルマートもスマートロックを活用して留守宅の冷蔵庫に生鮮食品を届けるサービスを始めている。

一方で、ここにきて、日本でもスマートロックメーカー各社が、スマートロックを通じた留守宅での住生活サービスの提供に向けた動きを活発化させている。

例えば、ソニーグループのQrio(東京都渋谷区・西條晋一 代表取締役)は、将来的に留守宅での住生活サービスの提供も見据え、スマートロック「Qrio Lock(キュリオロック)」の新バージョンを7月19日に発売した。キュリオロックを通じて不在宅のドアを開け、宅配事業者が玄関に荷物を配達するといったサービスや、家事代行事業者が部屋の片付けを行うといったサービスの提供を目指す。

新たなキュリオロックでは、スマートロックを通じた留守宅での住生活サービスを創出しやすいように、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を公開できるように改良した。これにより、キュリオロックを活用して留守宅サービスを提供したい事業者は、キュリオロックのAPIを参照することで、自社で自由にサービスを作ることができる。例えば、スマートスピーカーなどのIoT機器やセンサーなどと連動させたサービスの創出も可能になる。Qrioでは留守宅サービスの提供に意欲を持つ事業者にAPIを公開し留守宅サービスの創出を図ることで、単純にスマートフォンで施錠・解錠できる以上の付加価値をキュリオロックに与えていきたい考えだ。「様々な事業者から連携の相談が来ている。ソニーグループのネットワークも活用しながら取り組んでいきたい」と、西條代表取締役は意気込みを語る。

tsumugは福岡市内の国家戦略特区エリアの集合住宅の複数戸にTiNKを設置し、宅配・家事代行事業者と連携して、留守宅での宅配・家事代行サービスの実証実験を実施
ライナフも今年1月から3月まで東京都大田区の賃貸マンションでスマートロック「NinjaLock」を活用した留守宅での生活サービス「サービスが入ってくる家」を実験的に実施。課題を洗い出した

実物件で実証の動きも

また、スマートロック「TiNK(ティンク)」の提供を行うtsumug(福岡市中央区・牧田恵里 代表取締役社長)も留守宅での住生活サービスの提供に向けて取り組みを進めている。福岡市でサービスの実用化に向けて実証実験を開始。国家戦略特区エリアの集合住宅の複数戸にTiNKを設置し、宅配・家事代行事業者と連携して、留守宅での宅配・家事代行サービスを提供している。実証実験では集合住宅の複数戸で集中的に実証実験を行うことで、サービス精度の向上を図り、実用化を目指していきたい考えだ。

tsumugはアパマンショップホールディングスグループとパートナー契約を結んでおり、2021年までに同グループと連携し100万世帯にTiNKを設置するとともに、TiNKを活用した留守宅サービスの提供を目指している。アパマンショップホールディングスグループは全国で大きなネットワークを持っているだけに、TiNKが実用化されれば、留守宅での住生活サービスの提供が一気に拡大する可能性もある。

業界に先駆けてスマートロックを活用した留守宅での生活サービス提供を打ち出したのが、スマートロック「NinjaLock」を提供しているライナフ(東京都千代田区・滝沢潔 代表取締役社長)。今年1月から3月まで東京都大田区の賃貸マンションで「NinjaLock」を活用した留守宅での生活サービス「サービスが入ってくる家」を実験的に実施した。NinjaLockを活用して、不在時に生活協同組合パルシステム東京による食品などの宅配、ホワイトプラスによるクリーニングの配達、honestbeeによる代行した買い物の宅配、タスカジとベアーズによる家事サービスの提供を行った。

安心を担保した運用や契約面などでの課題も

「サービスが入ってくる家」の反響は大きく、同じようにスマートロックを活用したサービスを行いたいという事業者や、サービスをマンションに導入したいというデベロッパーも多くおり、当初は4月から実用化の予定だった。だが、課題も見つかったため、課題を解消したうえで実用化する考えだ。

課題のひとつは、運用面に関するもの。「サービスが入ってくる家」では、安心面への配慮から、サービス事業者が直接スマートロックを開けるのではなく、ライナフのコールセンターに電話し、コールセンターが遠隔からスマートロックの解錠・施錠を行うという方式を取った。だが、サービスの導入戸数が多くなってくると、コールセンターが追い付かないという課題が見えた。安心を担保しながら、効率的に運用できる仕組みの構築が必要と言えそうだ。

また、実証ではマンションの入居者がサービスを利用するためには、それぞれのサービス事業者と契約する必要があり、手間になるということも課題として挙がった。このため、賃貸マンションであれば、あらかじめオーナーと事業者の間で提携し、入居者ごとに契約しないでも良い仕組みの提案もライナフでは検討している。

さらに、留守宅に他人を上げることへの抵抗感により、サービスの利用をためらう人も多かった。こうした心の問題も解消していく必要がありそうだ。

これまで、スマートロックメーカーは一般消費者に対しては、スマートフォンで遠隔から施錠・解錠を行えるという点や施錠・解錠の状態を外出先から確認できる点などを主なメリットとして訴求してきた。だが、それだけではまだ本格普及への訴求力としては弱いという見方もある。一方で、実証などで見えてきた課題をクリアし、スマートロックでの留守宅サービスが実現すれば、スマートロックは一歩先の付加価値を提供することが可能になり、製品の本格的な普及も見込めるだろう。

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2030年住宅への設置率6割は可能か
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