建材メーカーの海外事業拡大の動きが鮮明に ニチハは米国で中厚品の窯業系外壁を生産
日本市場で培った性能や品質が武器に
人口減少による国内の新築住宅市場縮小を見越して、新たな収益確保に向け海外事業を拡大する建材メーカー各社の動きが加速している。
ニチハは、米国ジョージア州アトランタに拠点を置く子会社、Nichiha USA,Inc.のメーコン工場敷地内に約130億~150億円を投資し、付加価値を高めた窯業系サイディングを製造する工場を新設する。2020年10月~2021年3月頃を目処に稼働開始する。
ニチハでは、「世界の壁材メーカーを目指す」という経営目標を掲げ、その一環として米国では2007年からメーコン工場を通じて市場開拓に取り組んできた。米国の住宅外壁市場では、日本ほど防耐火に関する規制が厳しくなく、日本で普及している厚さ14mmや16mmといった中厚品の窯業系サイディングよりも薄い、厚さ10mm以下の薄物の窯業系サイディングを新築住宅に採用することが可能であり、メーコン工場では、日本とは別仕様の薄物の窯業系サイディングを製造・供給してきた。
メーコン工場は、稼働開始から赤字経営が続いてきたが、2015年3月期に経常利益ベースで初めて黒字化し、2016年3月期に増益を達成した。「工場の生産性向上とともに、耐久性やデザイン性といった窯業系サイディングの品質の良さが徐々に認められ、需要が増加してきている」(同社)ためだ。
こうしたなかで、好調な米国住宅市場において窯業系サイディングのさらなる販売拡大を目指し、メーコン工場敷地内に新工場を増設する。新工場では、同社が日本で主力商品のひとつとして展開する高付加価値商品「モエンエクセラード」のような中厚品の窯業系サイディングを製造する。「米国の外壁市場では、木製や樹脂製など様々な薄物の外壁材が普及しているが、窯業系サイディングは、ほとんど普及しておらず、開拓の余地があり、大きな成長が見込める」(同社)として、付加価値を高めた中厚品の窯業系サイディングを武器に、新市場の創出を狙う。
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