土地のポテンシャルを掘り起こす
北海道の札幌地区を取材する機会があった。
特に印象に残ったのは、北海道における札幌への一極集中化だ。
総務省は7月11日に2018年の人口動態調査を公表したが、2018年1月1日時点での札幌市の人口は195万2348人で、前年より4854人増加。一方で、北海道全体ではほとんどの市町村で人口が減少し、札幌市への一極集中が進んでいる。
こうした中心都市への一極集中の流れは地方各地で起こっており、今後さらに勢いが増していく可能性がある。中心都市への一極集中が中心都市以外の地域での住宅需要の落ち込みをさらに加速させていくだろう。その中で、中心都市以外の地域で事業を行う住宅事業者はどのように対処していけばいいのか——。
その鍵のひとつは、地域の持つポテンシャルを顕在化し、地域の外から人を呼び寄せることではないか。外の需要をうまく取り込み、地域活性化と人口増加に成功している地域が増えている。
例えば、今回訪れた北海道ではニセコが有名だ。観光にとどまらず、移住する人も増えている。結果、札幌を超える人口増加率を実現している。だが、現地の人は、「ちょっと前まではまったく想像できなかった」と話す。行政と住民がまちを挙げて良質なスキーリゾートとしての魅力をアピールした。これにより、土地の持つポテンシャルが顕在化され、日本の外からも注目される場所となった。
どんな土地にも、その土地ならではの魅力があり、外の人を惹きつけるポテンシャルがあるはずだ。これまでは、主に自治体やNPOがそのポテンシャルの顕在化に取り組んできた。
だが、これからは住宅事業者も土地の持つポテンシャルを掘り起こし、育てていくことが重要になるのではないだろうか。建物の供給だけでなく地域作りにより深く関わっていくことが必要になる。住宅事業者はその土地に深く結びついて事業を行っていることが多いだけに、中心的な役割を担える可能性があるはずだ。
土地の持つポテンシャルを掘り起こすことで産業や賑わいが創出されれば、外からの人口流入により住宅需要も期待できるだろう。
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