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2018.6.26

「ウッドステーションが実現するか!? 住宅建築2.0」

新たな住宅生産システム誕生の萌芽に

大型パネルによる工業化技術と最新の情報技術を駆使し、在来木造の受託加工サービス事業を展開するウッドステーションが船出した。
ハウジング・トリビューンでは、2号にわたりウッドステーションが志向する在来木造の工業化というミッションを様々な角度から分析する。2号目となる今回は、同社の受託加工サービス事業が成熟期を迎えた住宅産業にどのようなイノベーションをもたらすのかを関係者の声を交えながらレポートしていく。まずは世界で注目されはじめている「住宅建築2.0」とも呼ばれる新たな潮流と在来木材の工業化との関係性を考察する。

建築行為を高度にデジタル化し、これまでは想像もできなかったような効率化手法が世界中で萌芽するなか、大型パネルを用いた在来工法の工業化によって、日本において「住宅建築2.0」とも呼べる新たな住宅生産システムが発現するかもしれない。

世界で広がる住宅建築イノベーションの波

欧米などに目を向けても、木造のパネル化技術と最新の情報技術を融合して、木造の住宅・建築業界にイノベーションを起こそうという「住宅建築2.0」とも呼べる動きが加速している。

アメリカ、ヨーロッパなどで、パネル化など、工場で事前に建築部品を組立てるプレハブ化技術と、BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)などの建築情報をデジタル化する技術の融合を図ることで、生産性を飛躍的に高めようとする新興建設企業が現れ始めているのだ。工業化と情報化の推進により、職人不足問題の解消、住宅の高性能化ニーズへの対応、木材資源の有効活用、建設コストの削減といった様々なメリットが期待できる。

2015 年に設立された米国の新興建設企業、KATERRA(カテラ)は、2018 年1月、ソフトバンクグループなどから8億6500 万ドル(約947 億円)を調達したと発表した。

カリフォルニア州メンロパークに拠点を置く同社は、木造建築の分野で、2×4工法のパネル技術や、BIM などの情報技術などのテクノロジーを駆使して、設計から施工までの全工程を請負い、工期短縮、コスト削減を実現し、建築業界の生産性を飛躍的に高めようとしている。

同社の会長を務めるのは、電子機器の製造受託サービスなどを展開する、シンガポールのフレクトロニクス社を発展させた実績を持つマイケル・マークス氏。電子機器業界で成功したビジネスモデルを、生産性が低いと言われる建築業界にも応用し、革新を起こそうとしている。

同社は、携わった建築プロジェクトを1回限りのプロジェクトとして終わらせるのではなく、ノウハウを蓄積、活用することで、設計から施工までの一連の建築プロセスを標準化し、システムアプローチを強化していきたい考え。2015 年の設立以降すでに、マルチファミリー、学生、シニア住宅のほか、ホテルなどのホスピタリティ施設など、累計13 億ドル以上の新築予約を獲得している。具体的には、ポートランドの12 階建てのタウンハウス・複合施設や、シアトルの12 エーカーの高齢者施設などの建設プロジェクトが進行している。また、アップル、グーグル、ヒューレッドパッカード、ノキア、サンディスク、フレクトロニクスなどから、上級指導者をはじめとするスタッフを集め、1300 人以上のグローバルチームを構成。さらに、アリゾナ州フェニックスに完全運営の製造拠点を開設し、ワシントン州スポケーンにある木材工場など、複数の工場のロードマップを策定し、製造拠点の整備も着実に進めている。

テクノロジーで建築業界に革新を起こす新興企業への期待度が高まるとともに、大きな利益を生む新ビジネスとしても、投資ファンドなどから熱い視線を集めている。

ヨーロッパでも素材メーカーが木造のプレハブ化を推進

ヨーロッパでは、合板などの素材メーカー(チェコのアグロップ社や、スイスのリグナトゥーア社、ドイツのリグノトレンド社)などが、自社製品である素材を複合化したパネルを開発、製造、販売することで、利益率の向上を図ろうとする動きが加速している。部材の複合化により付加価値を高め、素材産業からの脱却を図ろうとしている。

イギリス・ヨークに本社を置き、高級住宅を中心に住宅事業を展開するPERSIMMON 社は、子会社のspace4 を通じて、木造住宅のパネル化などによるプレハブ化技術と情報技術を組み合わせて、現代建築システムの構築を進めている。space4 の工場で高断熱化を図った壁パネルと、屋根パネルを製造し、PERSIMMON 社が展開するブランド住宅の建設現場に供給。2017 年にはプレハブ化技術を活用して6450件以上の住宅を建設した。

KATERRAが運営する製造拠点。木造建築の分野で、パネル化とBIMなど、テクノロジーの融合を図り、設計から施工までの全工程を請負うことで、飛躍的な生産性の向上を目指す

工業化×高度情報化=住宅建築2.0
日本でもその可能性が広がる

世界中で注目度を高めている「住宅建築2.0」の動きの多くは、工場を用いて建築をプレハブ化する技術と高度情報化技術を組み合わせることで、他の産業に比べて効率化が遅れていると言われている建築分野の効率化を促そうとしている。

そして、日本でこうしたムーブメントを起こそうとしているのが、ウッドステーションだ。同社では、大型パネルによる在来木造の工業化にとどまらず、最新の情報技術の導入も積極的に進める方針だ。これにより設計から施工までの一連のサプライチェーンの一元的管理が可能になる。言い換えれば、住宅製造工程の「見える化」を実現しようとしているわけだ。

住宅製造工程を見える化し、そこで扱う情報をIT で処理していくことができるようになれば、住宅製造工程の効率化だけにとどまらず、住宅業界に関わるサプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性がある。

これまで職人に依存する部分が多く、情報技術の活用が遅れていると指摘されてきた在来木造の分野だが、大型パネル事業を通じて在来木造の高度工業化とともに、高度情報化を推進することで、一気に「建築のデジタル化」の扉が開かれる可能性が高い。そうなれば、サプライチェーン全体の最適化による住宅産業の持続的成長といった未来も描きやすくなるはずだ。

ウッドステーションが展開する大型パネルの受託加工サービスにおいて生産分野で重要な役割を担うテクノエフアンドシーのパネル製造工場

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ハウジング・トリビューンVol.631(2021年22号)

特集:

2030年住宅への設置率6割は可能か
初期費用、条件不利地域へのソリューション

国は2030年に住宅での太陽光発電の設置率6割を目標とする考えを示した。
現状の設置率は1~2割とみられ、非常に高い目標と言える。
100万円以上を必要とする「高額な初期費用」や、十分な発電効率を得るのが難しい「条件不利地域」といった課題があるなか、住宅事業者は設置率6割に向けてどのように取り組んでいけば良いのか──。
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