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暮らし創造研究会、新たに発足した2つの研究部会、初年度の活動状況を報告

「健康」「省エネ」をテーマに3カ年計画で研究

暮らし創造研究会は、2018年3月に第5回となる研究会を開催した。2014年に設立された同研究会は、昨年度から「健康」と「省エネ」をテーマに2つの研究部会を設置し、研究を行っている。今回の研究部会ではこれら2つの研究部会に関する活動状況を中心に報告。研究成果をもとに、適切な設備と暮らし方の普及を目指す。


第5回研究会では昨年新たに発足した2つの研究部会を中心に報告した

暮らし創造研究会はガス供給事業者や住宅関連団体、設備機器関連団体、有識者などにより2014年に設立された。超高齢社会や高度省エネ社会への移行を見据え、暮らしにおける「健康・快適」「安全・安心」「省エネ・省CO2」を推進するための適切な設備と暮らし方を研究し、その成果の発信により暮らし方や設備の普及推進を図ることを目的としている。

2016年度まで同研究会では「効果・効能研究部会」、「暮らしの意識・行動研究部会」、「超高齢社会の居住環境研究部会」の3つの研究部会を設置し、研究を実施。効果・効能研究部会では、断熱・気密性能が異なる3つの住戸を用いて60〜79歳の高齢者合計57人に一泊してもらい、温熱指標や健康指標の違いなどに関する調査を行った。調査の結果、断熱・気密改修により室温が高まり、それらの住戸での被験者の最高血圧は断熱・気密性能の悪い住戸と比べて最も低い結果となった。これら3つの研究部会は、一定の成果が得られたとして、2017年度以降、これまでの研究成果の発信や活用へ向けた動きに移行している。

新研究部会は健康と省エネがテーマ
床暖房の健康改善効果などを検証

一方で同研究会では2017年度から新たに「暖房の健康影響研究部会」と「ストック住宅の省エネ化推進手法研究部会」を発足し、研究を開始。慶應義塾大学理工学部教授の伊香賀俊治氏を主査とする暖房の健康影響研究部会では、暖房方法の違いが血圧や活動量に与える影響について研究。効果の定量化を目指している。

例えばリビングで主にエアコンを使う「気流式暖房群」と床暖房を使う「放射式暖房群」の両群に対して、日常の健康状態や住まい方、慢性疾患、アレルギー、手足の冷えなどについてアンケート調査を実施。血圧や活動量、住宅内温湿度を測定し、それぞれのデータを分析する。アンケート調査は2017年度と2019年度に各郡約500名、実測調査は2017年度と2018年度に各郡約100名を対象に行う。

2017年度は暖房を使う冬期にアンケート調査と実測調査を実施した。1月13日から31日にエアコン410名、床暖房185名を対象に行ったアンケート調査の中間報告では、床暖房の方が住宅の各エリアで寒さを感じる頻度が少ない傾向がみられた。居間で足元に冬の寒さを感じる頻度を聞いたところ「めったにない・全くない」と回答したのはエアコンで約30%だったのに対し、床暖房では約60%にのぼった。

加えて、高血圧やアレルギー性鼻炎、喘息などの一部の症状での通院割合や手足の冷えの自覚症状についても床暖房の方が少ない傾向がみられることもわかったという。アンケート調査と実測調査は今後2年にわたって実施する。2019年度には暖房方式の違いが長期間居住の際に住生活関連指標に与える効果について取りまとめるという。

「暖房の健康影響研究部会」で実施した「冬の寒さを感じる頻度」アンケート調査の結果(中間報告)
「ストック住宅の省エネ化推進手法研究部会」で行った「大規模な省エネリフォーム実施の阻害要因」アンケート調査の結果

積極的な省エネリフォーム提案を行う
事業者が少ないことが判明

東京大学大学院工学系研究科准教授の前真之氏を主査とするストック住宅の省エネ化推進手法研究部会は、リフォーム事業者が省エネ化や温熱環境改善について定量的な効果を提示できるパンフレットや映像などの開発を目指し、研究を進めている。2017年度はリフォーム内容と満足度の関係の把握を目的に、リフォーム事業者とリフォーム経験者にアンケート調査とヒアリング調査を実施した。

リフォーム事業者に対するアンケート調査の結果、大規模な省エネリフォームは生活者からの要望が少ないことに加え、想定外の追加工事が必要となる可能性もあることから事業者側も積極的な提案をしていないという実態が明らかとなった。こうした実態は、ヒアリング調査でも把握できたという。その一方で、壁や窓の断熱性能向上リフォームを行った人の多くは冬に暖かくなったと満足感を得ており、また約半数の人が光熱費の削減や結露の解消といったメリットを実感していることがわかっている。この結果を受け、同研究部会では断熱リフォームはリフォームの満足度に影響を与える可能性があると考えている。2018年度以降はリフォーム事業者が生活者に対して、省エネリフォームの効果を適切に伝えるためのコンテンツをつくるため、リフォーム効果の指標化や情報提供の対象に応じたツールの検討、省エネリフォーム実施後の温熱環境評価などを進めていく方針だ。

同研究会では、「暖房の健康影響研究部会」と「ストック住宅の省エネ化推進手法研究部会」について2017年から3カ年計画で研究に取り組んでいる。今後はこれらに加え、昨年まで取り組んでいた3つの研究部会の成果の発信・活用にも注力していく考えだ。

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