2017.12.7

塩ビ工業・環境協会 非木造向けの樹脂サッシ普及を促進

ホテルや施設での温熱環境測定を実施

樹脂窓の普及を目指す塩ビ工業・環境協会(東京都中央区、角倉護会長)が、非木造での樹脂サッシ普及に向けた動きを活発化させている。同協会では、2016年にZEB・ZEHの実現を考える会(委員長:秋元孝之芝浦工業大学建築学部建築学科教授)を設置。様々な調査などを通じて、樹脂窓の導入効果を明らかにしていく。

塩ビ工業・環境協会は2016年にZEB・ZEHの実現を考える会を設置。ZEB・ZEHへの樹脂窓導入の必要性を訴えていく

塩ビ樹脂や塩ビモノマーメーカーを会員とする塩ビ工業・環境協会では、樹脂サッシと複層ガラスを組み合わせた樹脂窓の普及に向けた活動を行っている。しかし、現在の樹脂サッシの国内シェアは全体の10%程度というのが実情。

そこで、国内のZEB・ZEH推進の動きが活発していることを受け、今まで以上に樹脂窓の必要性を訴求するために「ZEB・ZEHの実現を考える会」を2016年に設置した。芝浦工業大学建築学部建築学科の秋元孝之教授を委員長に置き、AGC旭硝子、樹脂サッシメーカー4社、ダイキン工業を委員として構成している。

今年度は樹脂窓を導入した建物の温熱環境を測定し、樹脂窓導入効果をPRしていく。主に非木造のホテルや高齢者施設などへの提案強化を行う予定。写真はカバー工法で樹脂窓を取り付けたホテル

非木造の室内温熱環境実測で樹脂窓導入効果を提示

同会では、特に非木造で樹脂窓の普及が進んでいないことを受け、非木造のホテルや高齢者施設などに向けた提案を強化しようとしている。

「省エネルギー化によるコストメリットが大きいホテルと、健康や安全の面で温熱環境を改善するべき病院や老人ホームを中心に訴求する」(同協会)。

今年8月には、既存の窓にカバー工法で樹脂窓をとりつけたホテルと、樹脂内窓を設置した高齢者施設で室内温熱環境の実証測定を実施。それぞれ樹脂窓を取り付けていない室内と比較した結果、温熱環境の改善を検証できたという。

また、今年12月から来年1月にかけて冬季の実証測定を実施する。「樹脂窓の導入効果は冬季に大きく発揮される。夏季に測定した建物以外にも、樹脂製の内窓を採用したさいたま市の集合住宅でも冬季の測定を実施する予定」(同協会)としている。さらに、空調設備を使用した、樹脂窓導入前後の電力使用量も測定する予定。「ホテルや高齢者施設は、住宅と比較すると開口部面積が大きく、熱ロスが生じやすい。そのため、施設が実際に稼働した状態では空調設備の役割が大きくなる。樹脂窓導入前後の電力使用量の変化を測定することで、樹脂窓の導入効果を導きだすことができる」(同協会)。

測定値の解析結果と、1年間の室内温熱環境と消費エネルギーのシミュレーション結果はパンフレットにまとめ、非木造への樹脂窓普及ツールとして活用していく。

同協会は今後、温熱環境の測定のほか、樹脂窓の結露対策性能を提示するための調査や、樹脂窓を導入したZEB・ZEHの建物モデル提案なども行ないながら、樹脂窓の普及を図っていきたい考えだ。