宇宙で住宅を建てる時代
アメリカ航空宇宙局(NASA)は、日本が先月発見した月の地下にある全長50kmにおよぶ巨大な空洞が宇宙飛行士の居住空間として活用できるとの見方を示し、今後、探査ロボットなどを送り込んで詳しく調べたいという考えを明らかにしたという。検討グループの責任者であるゲスティンマイヤー氏は、この地下空洞について、「放射線を防ぐことができ、間違いなく宇宙飛行士の居住空間として検討できる」と話している。宇宙で人が生活する上で最大の障壁となる放射線の問題を解消できる空間であり、居住施設(住宅)を建てられる可能性があるのだ。
日本の住宅産業関連企業にもぜひ「宇宙で住宅を建てる」事業に名乗りを上げてもらいたい。高度に工業化が進んだ日本の住宅産業のノウハウを活かせる分野があるはずだ。収益性は未知数だが、「宇宙で住宅を建てる」という事業に携わっているというだけで、宣伝効果は計り知れないものがあるだろう。未知の分野に挑戦しているという姿勢を示すことで、ブランドイメージの向上も期待できる。すでにミサワホームでは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究提案募集に採択され、宇宙空間での「拠点構造物の建築・拡張・維持の省力化」に向け、同社のノウハウを活かし宇宙開発の発展に貢献している。
一方で、近年、住宅で使える新素材の開発も加速している。例えば、京大発のベンチャー企業、ティエムファクトリは、地球上の透明個体のなかで、最も軽く高い断熱性能を持つエアロゲルの一種で、軽量性、透明性、高断熱性を兼ね備えた「SUFA」という新素材を低コストで製造できるプロセスを確立し実用化に向けた取り組みを進めている。こうした新素材は、宇宙空間という未知の分野でも、大きな役割を果たすに違いない。
より過酷な宇宙空間という場所で、どのような建材を開発し、住宅に活かしていくのか。新素材のポテンシャルを理解し、住宅での具体的な活用に落とし込むためには、住宅分野のノウハウが欠かせない。月の地下空間という未知なるフィールドが現れ、大きな可能性を秘めた新素材も出揃ってきている。あとは、挑戦するかしないかの選択の問題であるような気もする。イーロン・マスクのような、いかにもな人に先を越されては残念だ。 (沖永)
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