2017.11.20

旭化成ホームズ、都市住宅のため外構提案「まちもり」を本格展開

階層構造の植栽計画などにより生物多様性に配慮

旭化成ホームズでは、都市住宅のための外構提案「まちもり」の本格展開を開始した。階層構造の植栽計画などによって、充分な外構スペースを確保できない都市住宅でも生物多様性に配慮した質の高い緑化空間を実現する。


旭化成ホームズ 都市住宅のため外構提案「まちもり」を本格展開
旭化成富士支社の一画に造成した1万平方メートルの緑地「あさひ・いのちの森」

旭化成ホームズでは、2007年から旭化成富士支社の一画に造成した1万平方メートルの緑地「あさひ・いのちの森」の管理・運営を行ってきた。造成に当たっては、周辺地区の植生調査を行い、近隣の生物多様性の確保などに配慮した植栽計画を立案。造成後は植生や昆虫、野鳥のモニタリングを行いながら、適切な成長管理も継続している。

こうした「あさひ・いのちの森」での経験などを活かしながら、都市の戸建住宅に多様な生物を呼び込む外構・植栽提案の設計指針「まちもり」を確立した。同社の環境・渉外技術部長 兼 環境・ネット・エネルギー推進室長の武藤一巳氏は、「『まちもり』は、いのちの森で得たことを都市の庭づくりに活かしたもの。都市に『いのちの森』の考え方を持ち込むことで、暮らしのなかで自然と触れ合う場所と時間を作り出したい」と「まちもり」の狙いを語る。

「まちもり」ポッドなどでコンパクトな敷地でも多様な生物を呼び込む

同社では、杉並区や中野区、渋谷区などで住宅の植栽に関する調査を実施した。その結果、築10年以上が経過した既存住宅と、10年未満の築浅住宅の植栽配置割合を比較すると、築浅住宅の方が約2割程度植栽が少ないことが分かったという。こうした調査結果を参考にしながら、植物連鎖の上位である鳥類が訪れる回数が多いと推測される樹高2m以上、樹冠2平方メートル以上の樹木を含む階層構造の外構設計を行うことを基本方針に据えた。また、在来種で構成された樹種の組み合わせ(3種類)と、入手が容易な一般的な樹種で構成される組み合わせ(8種類)を設定した「まちもり」ポッドを用意した。それぞれの「まちもり」ポッドは、高木、中木、低木、地被植物で構成されており、最低0.6平方メートルのスペースでも生物多様性に配慮した緑化を行うことが可能。

そのほかにも、カーポートの目地部分や道路との境部分などの隙間を緑化する「すきまミドリ」、道路や隣地との境界線を少しセットバックして空き地を作り出し、そこにつる性植物を植栽する「からみミドリ」、建物の基礎と土間コンクリートを10㎝以上離して施工し、そこを緑化する「根締めミドリ」などの考え方も取り入れている。

今後、「まちもり」の設計指針に基づいた外構提案を進めていくことで、敷地が限られた都市住宅であっても、質の高い外構提案を強化していきたい考えだ。

旭化成ホームズ 都市住宅のため外構提案「まちもり」を本格展開
「まちもり」ポッドなどを活用し、限られた敷地でも生物多様性に配慮した質の高い外構提案を具体化