住宅を継続使用するには 耐震等級5相当の高耐震住宅が理想

京都大学生存圏研究所 五十田博 教授

日本には活断層が2000以上もあると言われ、いつどこで大地震が発生してもおかしくない。熊本地震発生以降、地震への不安が一層高まる中で、地震に耐えられる住まいや地震発生後も継続して使用できる住まいをつくるためにどうしたら良いのか。熊本地震で現地調査も行った京都大学の五十田博教授に話を聞いた。

京都大学生存圏研究所 生活圏構造機能分野 教授 五十田 博 氏

地震や耐震への意識は地域によって大きな差

──熊本地震発生以降、住まいの耐震性に対する意識は変化してきていると感じますか。

熊本地震発生以降、講演会に呼ばれる回数が増え、昨年だけでも全国各地で70回ほど講演を行いました。全国を回って感じるのは、耐震化から高耐震化の方向へ意識が変化してきていることです。

昨年までの講演会では、「どのような建物が熊本地震で倒壊したのか」ということについて話をする機会が多かったのですが、「地震発生後も継続して住宅を使用するためにはどのような対策が必要か」という内容での講演を依頼されることも多くなりました。地震被害の教訓を家づくりに活かしたいと考える事業者が増えているためでしょう。

エンドユーザーの関心も高まっています。新築を建てる時に「耐震性能を高くしたいが、そのためにはどうしたら良いか」と工務店やハウスメーカーに相談する人も増えてきているようです。

一方で、地震や耐震への関心が薄い地域が存在するのも事実です。「耐震はよくわからない。建築基準法の耐震基準を守っていれば大丈夫」という考えが未だに残っているのかもしれません。南海トラフ地震がいつ来てもおかしくないと言われる今、安全な地域は無いと言って良いでしょう。施主・住宅事業者ともに耐震について今一度考えてもらいたいです。

激震地で住宅を継続使用するには耐震等級3以上を推奨

──継続使用を考慮して住宅を建てるにはどのような対策が必要なのでしょうか。


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