YKK AP、秋葉原駅前広場に建材一体型太陽光発電の実証実験ハウス
千代田区、Akiba.TVと連携を取り、情報発信・意見交換の場に
千代田区、Akiba.TVと7月9日付で「建材一体型太陽光発電による再生可能エネルギー性能の実証実験に係る連携に関する締結書」を締結し、7月25日より秋葉原駅前での実証実験を開始した。
今年5月に関電工と業務提携しビルの窓や壁面を活用する建材一体型太陽光発電の開発を進めるYKK APが、秋葉原駅前広場に既存ビルのミニチュアとしてトレーラーハウスを活用して制作した実証実験ハウス「Akiba ZERO BOX(アキバ・ゼロ・ボックス)」を設置した。7月25日~10月20日までの約3カ月間にわたって日射量や発電量のデータ収集を行う。
ハウスの屋根はビルの屋上に見立ててシリコン系太陽光パネル6枚を実装し、内窓に透過性のあるガラスタイプのペロブスカイト太陽電池を用いた「建材一体型太陽光発電(BIPV)」を6枚採用。配線などのシステム構成は関電工が行っている。建材一体型太陽光発電は透過度が低いほど発電効率は高くなるが、今回は眺望性と発電量のバランスを取り、透過度40%のものを設置した。また、設置を想定している既存ビルの環境に合わせて、外窓は一般複層ガラスの窓としている。天候の変化などを考慮し、屋根と窓を合わせた1棟で平均1.2kWの発電量を見込んでいる。
YKK AP中谷卓也新規事業開発部長は、「屋上のシリコン系太陽光と併用してどれだけ発電量を向上できるか。1階建てで10%アップした場合、10階建てであれば屋根の発電量に追いつく。そういった検証を行う」と狙いを話した。
インフォメーションセンターとして一般開放
結果を踏まえて区所有施設への設置も検討
実証実験にあたっては、2050年までに区内のCO2排出量を実質ゼロにする「2050ゼロカーボンちよだ」を掲げる千代田区、秋葉原を拠点に情報発信を行うAkiba.TV(東京都千代田区)と「建材一体型太陽光発電による再生可能エネルギー性能の実証実験に係る連携に関する締結書」を締結。実証実験ハウスはインフォメーションセンターの役割も担い、透明翻訳ディスプレイによる多言語案内や、ハウス内の一般開放を行う。期間中はAkiba.TVの社員が常駐して、観光や環境に関する情報発信を担う。一般開放では、「窓の透過性が満足度できるレベルにあるのか意見を聞きたい」(中谷部長)と、内窓に建材一体型太陽光発電を採用することへのリアルな意見を拾い上げる狙いもある。なお、実証実験ハウスは、設置した太陽光発電システムで発電した電力を使用し、オフグリッドで運営する。
トレーラーハウスを採用した理由は、方位や場所の可変性が高いため。秋葉原駅前広場での実証実験終了後は、別の場所で実証を重ねる。また、建材一体型太陽光発電については、透過度を変更しての調査も行いたい考え。来年まで実証を行い、26年度中の実用化を目指す。千代田区は実証の結果を踏まえて、区保有施設への建材一体型太陽光発電の設置を検討する方針だ。
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