ものつくり大学、実大規模の実験住宅を建設
産学官で通気・換気、温湿度などを検証
ものつくり大学(埼玉県行田市)が住宅の気密・断熱や通気・換気などの実験を行う『「通気・換気や省エネ・快適性を研究する」実験住宅』を同大学の敷地内に建設、産学官により、さまざまな実験・研究に取り組み、成果を発信する。
実験の中心となるのは同大学技能工芸学部建設学科の松岡大介准教授。共同研究・協力者には、足利大学・齋藤宏昭教授、京都大学・小椋大輔教授、東京大学・前准教授、日本工業大学・伊藤大輔准教授、日本大学・井口雅登助教、ものつくり大学・久保隆太郎准教授という学識者、国土交通省 国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人 建築研究所、(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター、屋根換気メーカー協会、窓開口部の遮熱・断熱を考える研究会などが名を連ねる。
住宅の気密や断熱については「小さなモデルではなく実物大の住宅でなければなかなか検証できない」(松岡准教授)ことから、木造軸組工法による2階建て(建築面積57.96㎡、延床面積108.82㎡)を建設した。
温湿度、通気・換気、光など
さまざまな検証を実施
ここでさまざまな実験を行う。例えば、「部位ごとの気密性能と非居住部の通気性状」について測定する。これまで住宅一棟の気密性能についての研究はなされてきたが、どこから漏れているか細かな部位ごとのデータは少ないことから、「湿気移動やカビを絡めた研究」(共同研究:出端祐輔氏・積水ハウス、小椋教授)、「室内気流へ影響」(同:井口教授)、「気密施工」(同:日本住環境)、「部位ごとの現場性能」(同:ファイブイズホーム)などを行う。
また、近年、床下換気について基礎パッキン工法が主流になっているが、以前の換気口方式との違いについて、城東テクノと検証を行う。
壁内の通気について「窓周り(特に横長窓)や横胴縁での通気層の働き」(同:住宅リフォーム・紛争処理支援センター、国交省総プロ)を行う。窓や横胴縁が断熱層外側の通気にどのような阻害要因になるのかなどについて検証する。
「住宅の昼光利用に関する研究」(同:伊藤准教授)や、「窓開口の遮熱・断熱を考える研究」(同:久保准教授、塩ビ工業・環境協会、ほか)といった開口部からの光、熱、通風についての研究も行う。
このほか「PCM蓄熱の効果と設計」(前教授)や、「階段直結のリビング吹き抜け空間の快適性向上」、また、「セットバックバルコニー部の熱湿気性状(換気・結露)」や「バルコニー手摺部の内部・通気層の熱湿気性状」といったバルコニー部のなどの検証も行う考えだ。
このモデルで行わる数多くの実験については、それぞれ成果ができる時期は異なり、今年度中に結果が出るものもあるが、「継続的に計測を続けていきたい」(松岡准教授)と、条件を変えるなどさまざまな実験を続ける考え。
「住宅を長持ちさせなければいけない。100年、200年持たせることがCO2排出抑制にもつながる。そのためには換気をしっかりと行い、結露を起こさないようにすることが重要」(松岡准教授)と、住宅の長寿命化に資する実験、研究をこの実験住宅で続ける考えだ。
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