New   2026.3.10

日本繊維板工業会、4省と建築物木材利用促進協定を締結 木質ボードで脱炭素社会実現へ

 
(左から)国土交通省 豊嶋太朗 審議官、経済産業省 田中一成 審議官、日本繊維板工業会 億田正則 会長、林野庁 清水浩太郎 林政部長、環境省 西村治彦 審議官

2026年3月10日、日本繊維板工業会は、経済産業省、農林水産省、国土交通省、環境省の4省と「木質ボードの利用拡大による脱炭素社会・循環型社会の実現に向けた建築物木材利用促進協定」を締結した。本協定は、建築物における木材利用を促進し、資源循環を実態として回していくことを目的とする。有効期間は締結日から2031年3月31日まで。

近年、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅・建築分野でも使用段階の省エネだけでなく、建材の製造・施工や廃棄を含むライフサイクル全体(LCCO2)でのCO2排出量削減が強く求められている。同時に、建設現場で発生する廃木材や、自然災害に伴う被災木材の処理、さらには林業における未利用材の有効活用といった課題が山積している。木質ボードは炭素を長期に固定できるうえ、これらの廃材や未利用材を原料として活用できるため、環境負荷低減に大きく寄与する建材として期待が高まっていた。今回の協定は、こうした社会課題の解決に向けて、国と業界団体が共創し、強力なパートナーシップを結んだ形だ 。

同工業会は、本協定の有効期間内に、業界全体として製造プロセスにおけるCO2排出量を2025年比で10%削減するという明確な目標を掲げた。また、建築物のLCCO2評価に寄与すべく、木質ボードの排出原単位の整備を進め、ライフサイクルカーボンの可視化と情報発信を推進する。資源循環の面では、林業からの未利用材、建設発生木材をはじめとする廃木材、さらに自然災害による被災木材の原料化に積極的に取り組む。被災木材については、マテリアル利用としての受け入れ体制を強化し、今年度から五島列島の被災木材を原料として生産する予定だ。さらに、全国の木材関連事業者をつなぐプラットフォームであるマッチングサイト「もりんく」を通じた情報の充実化を図り、透明性の高い情報発信と新たなサプライチェーンの構築を目指す考えだ。

日本繊維板工業会の億田正則会長は「カーボンニュートラルの実現はもはや先送りのできない社会全体で取り組むべき使命だ。木材資源を余すところなく再利用する木質ボードは、多様な場面で社会を支える縁の下の力持ちとしての役割を担ってきた。今回の協定は、産業としてどこまでやり切るのかが問われる、重い責任を伴うものだ」と決意を述べた。また、国の支援を待つだけでなく、「脱炭素と循環を加速させるために何が必要か、産業側から具体的な提案を積極的に示していきたい」と話し、関係省庁と踏み込んだ連携を図りながら変革に挑む姿勢を強調した。

国は技術的な助言や補助事業の情報提供、法規制に関するアドバイスなどを通じて工業会の取り組みを後押しする。2031年までの期間で、木質ボードの利用拡大と木材循環がどこまで進むか注目される。