木造建築物の耐久性、性能評価機関で評価 国交省がガイドライン公表
法定耐用年数とは異なる評価軸を整備
国土交通省は、木造建築物の耐久性について、第三者評価の枠組みを構築し、2025年4月以降、登録住宅性能評価機関での評価業務を開始すると発表した。これにあわせて、「木造建築物の耐久性に係る評価のためのガイドライン」も公表している。
木造建築の耐久性の評価については、住宅用途については住宅性能表示制度を活用することが可能だが、非住宅分野では明確な評価基準が存在していない。その結果、金融機関から融資を受ける場合、木造建築物の法定耐用年数である22年で耐久性が評価され、結果として資金調達が難しくなるケースもあった。鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年であることを考慮すると、木造建築物の物理的な耐用年数を適切に評価する仕組みの構築が求められていた。
また、今後、不動産投資ファンドなどの資金を活用して、木造建築をさらに普及させていくことを考えても、建物の耐久性を評価する仕組みが重要になる。一般的には建物の耐用年数が長くなるほど、その建築物から期待できる利回りは高くなる傾向があるため、法定耐用年数の22年に代わる評価軸が求められているというわけだ。
国土交通省ではこうした状況を考慮し、「木造建築物等の耐久性等に係る評価スキームの整備検討委員会」において、木造建築物の耐久性を評価するためのスキームを検討してきた。そして今回、「木造建築物の耐久性に係る評価ためのガイドライン」を策定し、公表した。
ガイドラインでは、大規模な改修工事を必要とするまでの期間を50年以上に伸長するために必要な措置として、「イ 構造躯体の内部への雨水の浸入の防止」、「ロ 雨水の浸入があった場合の速やかな排出」、「ハ 雨水が浸入し滞留した場合の構造躯体の防腐処理等」という3項目を示している(下図参照)。これらの措置を適切に講じている場合、木造建築の構造躯体の物理的な耐久性を、鉄筋コンクリート造の法定耐用年数と同等の50年以上と捉えることが可能となる。
3項目のうち、「ロ」と「ハ」については住宅性能表示制度でも求めているが、「イ」についてはカーテンウォールなどによって雨水を遮断するといった措置を想定しているという。
登録住宅性能評価機関が今回公表されたガイドラインなどに基づき、木造建築の耐久性を審査する仕組みも構築する。2025年1月以降、評価業務を行う登録住宅性能評価機関を募集し、同年4月以降、評価の申請受付をスタートさせる予定だ。評価機関では、平面図や断面図、仕様書(仕上げ表)などの設計図書などをもとに評価を行う。
木造の集合住宅では、住宅性能評価基準で耐久性を評価し、エンジニアリングレポートによる評価を得て監査法人からの承認を得る形で、RC造と同等の47年という耐用年数が認められた事例が登場している。非住宅の建物でも耐久性を客観的に評価できる仕組みが構築されたことで、新築時の資金調達だけでなく、Jリートなどの資金が木造建築へ流入していく可能性も高まりそうだ。
ただし、Jリートで木造建築が存在感を強めていくためには、新築だけでなく、既存の建築物の評価手法も必要になる。国土交通省住宅局の木造住宅振興室では、「今回、第一歩として新築の評価手法を構築した。既存建築物の評価手法、さらには耐久性以外の性能を評価する仕組みを求める声も多くいただいている」としており、次の課題として取り組める部分から検討していきたい方針だ。
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