2021.4.1

OB顧客の紹介・口コミを受注につなげるサービスが登場

リブ・コンサルティングが提供を本格化

リブ・コンサルティングは、OB顧客による紹介や口コミを促すアンバサダークラウドの提供を本格化する。


住宅・不動産分野でのコンサルティング業務で数多くの実績をもつリブ・コンサルティングは、新たにSaaS事業に乗り出した。SaaSとは、クラウド上のアプリケーションやサービスを、インターネットを通じて提供する事業。

独自に開発したアンバサダークラウドは、住宅事業者のアフターサービスに着目したもので、「顧客資産を活用し紹介や口コミを活性化するクラウドサービス」(同社執行役員 石井祐季氏)だという。

石井氏は、「『応援購入』という言葉が一般的になりつつあることからも分かるように、誠実に事業に取り組んでいる企業を支援しようという人が増えている。その一方で企業側の発信である広告ではなく、SNSを通じたユーザーからの発信が消費者の消費行動を大きく左右するという状況がある。さらに言うと、住宅については闇雲にフォロワーなどの数を追っても効果は薄く、コミュニケーションの質が重要になる」と指摘する。

それだけに、多くのフォロワーがいるインフルエンサーではなく、身近な消費者による情報発信や紹介が次の受注につながる可能性が高い。

しかし、多くの住宅事業者が、OB顧客による紹介や口コミ情報の発信を促す仕組みを構築できていないため、顧客資産を有意義に活用できていないのが実情だ。

こうした問題を解消するために開発されたのがアンバサダークラウドだ。

OB顧客専用のホームページの開設と運営を支援

アンバサダークラウドでは、OB顧客とのコミュニケーションの質を高めるための専用ホームページの開設と運営をサポートする機能を備えている。

あらかじめ用意されたフォーマットを利用することで、簡単にOB顧客専用のホームページを開設できる。加えて生活に関する記事などのコンテンツも配信される。

OB顧客専用のホームページのイメージ

とくに地域ビルダーの場合、OB顧客向けのホームページを開設しても、専任のスタッフを置くことができず、コンテンツの更新頻度を上げていくことが難しい。それだけに、ホームページ開設後もコンテンツが提供されるメリットは大きいだろう。

ポイント制で紹介行動のハードルを低くする

アンバサダークラウドの大きな特徴が、紹介や口コミ情報の発信といった具体的な行動へとつなげていくためのポイント制度だ。

例えば、完成見学会への協力、住宅会社主催のベントへの参加といったOB顧客の行動に応じて、ポイントを付与していく。ポイント付与対象に新入社員のロールプレイングの相手をしてもらうといったことも設定することも可能だ。

獲得したポイントは商品券などに交換できる。紹介などを行うとより多くのポイントを獲得できる仕組みになっており、初めは簡単な応援行動から取り組んでもらい、徐々に受注につながる活動へと促していく。この仕組みを通じて、会員からファン、さらには具体的な行動によって自宅を建築した会社を応援してくれるアンバサダーへとステップアップしていくことが可能になる。

「商品券などをもらいたいというよりは、応援したいという気持ちがモチベーションになる。ポイントは、その気持ちを具体的な行動につなげるきっかけのひとつ」(石井氏)。

応援行動の見える化でデジタルマーケティングのツールに

OB顧客のポイント獲得状況を分析する機能も備えている。OB顧客がどのような応援行動を、どのような頻度で行っているのかなどを把握することができ、より多くの口コミ情報の発信や紹介へとつなげていくためのデジタルマーケティングのツールにもなる。

OB顧客のポイント獲得状況を分析する機能も備えている

今後はOB顧客が気軽に住宅会社に相談などを行えるチャットツールなどとの連携も図っていきたい考えだ。

ストック時代に突入するなかで、多くの住宅会社がOB顧客とのつながりを強化しようとしている。しかし、コスト部門であるアフターサービスの域を脱し、収益を生み出す部門に進化させているケースは少ない。アンバサダークラウドは、顧客資産を有効活用する仕組みを提供することで、新たな収益機会を生み出す“攻めのアフターサービス”を実現する強力なツールになりそうだ。