2020.11.13

中央大ベンチャー、低価格な上腕アシスト装置を開発

住宅建築現場への導入にも期待

中央大学理工学部の中村太郎教授らが設立したベンチャー企業のソラリス(東京都文京区・中村太郎代表取締役)は、低価格な上腕アシスト装置を開発した。従来の約4分の1のコストで導入できるため、住宅建築現場などでの上腕アシスト装置の普及を加速させそうだ。


中央大学理工学部の中村太郎教授らが設立したベンチャー企業のソラリスは、長時間の上向き作業(腕を挙げたままにして行う作業)をサポートする上腕アシスト装置で、従来にはない低価格を実現した製品「TasKi(タスキ)」を開発。今回、予約販売の申し込み受けを開始した。

既に他社から販売されている上腕アシスト装置は40万円弱するが、タスキの価格は11万5000円と4分の1程度に抑えた。低価格を実現できた大きな理由は、モーターなどの複雑な仕組みを設けず、電池も不要なシンプルな構造としたためだ。

上腕アシスト装置で、従来にはない低価格を実現した製品「TasKi(タスキ)」

タスキには、強力なバネが搭載されており、腕に掛かる重力をバネの力で押し上げることで、腕を挙げたままにした上向き作業をサポートする。上向き作業では腕の重さにより長時間の作業がしんどくなるが、タスキを装着することで腕の重さが軽減され、長時間の作業を行いやすくなる。「腕の重みを感じず、ふわふわとした感覚で作業できる」と、ソラリスの山田泰之 取締役CTOは話す。なお、バネが腕を押し上げる力は1〜2キロで、バネの種類を変えることで力の強度を変えられる。

また、タスキでは、使い勝手にも配慮した。不要なものをできるだけ排除したシンプルな構造とすることで、重さを他社製品の約半分となる2.2kgに軽量化し、長時間使用しやすくした。

住宅建築現場への導入に期待
内装工事や天井工事などに活用

ソラリスはタスキの住宅建築現場への導入に期待感を持っている。例えば、内装工事や天井工事などの上向き作業の負荷を軽減できるものとして、ハウスメーカーや不動産デベロッパー、その協力施工会社などに提案していきたい考えだ。

既に、2つの建築現場にタスキを数台導入し、使用感の感想や課題等について、ヒアリングを行っているところだ。今後も、導入現場数を増やし、「我々が想定していない利用の仕方なども検証していきたい」(同)としている。

タスキの販売については、まずはソラリスのウェブページからの直販で行っていくが、今後は商社ルートや一般ECサイトでの販売も検討している。

販売目標は、初年度は月間100台程度で、将来的には、月間1000台くらいに増やしていきたい考えだ。

さらに、量産することで価格のさらなる低減も図って行きたい考えで、将来的には10万円以下での提供を目指す。

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ハウジング・トリビューンVol.610(2020年22号)

特集:

災害広域化に備え、求められる数、速さ、居住性

近年、大規模な自然災害が相次いでいる。平成22年度から令和元年度までで半壊以上の住家被害が1000戸以上の災害は東日本大震災をはじめ13災害に上る。令和2年も熊本県などに大きな被害をもたらした「令和2年7月豪雨」が発生。死者・行方不明者80人超、家屋被害は全半壊だけで6000戸に及んだ。今年は新型コロナウイルス感染症という、これまでにない問題も発生し、これまで以上に避難生活から仮設期の暮らしへのスピーディーな移行が求められる。

応急仮設住宅は、「建設型」での対応が行われていたが、災害被害の拡大にともなってより多くの住宅が必要になったことで「みなし仮設」とよばれる「賃貸型」が導入、その活用が広がった。そして、今、注目を集めているのがトレーラーハウスやムービングハウスなどの移動式仮設住宅だ。

今後、南海トラフや首都直下などの大地震による想像を絶するほど大規模な家屋被害も予想される。それだけに仮設期の住宅供給をどうするのかを平時の今から考えなければならない。移動式仮設住宅は、プレハブや木造などの仮設住宅、民間住宅などを借り上げる「みなし住宅」に次ぐ3つ目の柱になるのか――。移動式仮設住宅の可能性を探った。

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