住宅 |  2020.6.22

ミサワホームの賃貸が好調な理由

コロナ禍で2カ月連続の大幅な前年超え

ミサワホームの賃貸住宅が快進撃を続けている。賃貸住宅の受注が対前年比受注金額ベースで4月は41%増、5月は25%増と2カ月連続での大幅な増加となっているのだ。新型コロナの影響を受け受注下落ムードが漂う住宅業界でその好調ぶりがひときわ目立っている。


同社の受注状況を詳しくみると、2020年1月はマイナス44%、2月はマイナス32%、3月はマイナス35%となっており、前年比増減率でみると二ケタの減少が続いていた。これについては、「昨年の1-3月は消費税増税の駆け込み需要があり、ハードルが高かった。一昨年の同月比では微増」(ミサワホーム資産活用企画課・長塚課長)と言う。

続く4-5月受注額の大幅な増加については、前期末から新型コロナで対面営業ができなかったため契約時期がずれたことや、大型(戸数が多い)案件が集中したというタイミング的なこともあるが、大きな要因のひとつが「蔵のある賃貸」が全国に普及してきて単価アップに貢献していること。

ベルリードスキップハイ

ミサワホームといえば「蔵のある家」と言われるほど同社の大発明だが、この大収納空間は当初は戸建住宅への搭載のみ。賃貸住宅においてはフリープランという扱いだった。契機となったのは2018年9月に発売された「ベルリードスキップハイ」。1階に蔵収納がついたRタイプでは、天井高約3.3メートルという開放感と明るさ、空間設計の妙が魅力的。敬遠されがちな「1階から入居が決まる」と好評だ。

賃貸は建てれば入居者が自然と埋まるという時代ではない。将来を見据えてしっかりとした市場調査や事業計画のもとに供給される基本性能の高い賃貸住宅には引き合いがある。また、その建物独自の特長があれば入居を決断する決め手になる。「蔵」はその典型。入居期間も長くなる傾向にあり、回転率の低下にも貢献している。空室が出にくいことで収益性が高いと、賃貸オーナーに好評であることも、同社の受注が好調である要因といえそうだ。

加えて、前述のスキップハイの受注が好調であったことで、賃貸オーナーから1室を借りてモデルルームとして見学できる「蔵のある賃貸住宅」が全国で増えたことも、地方の販売ディーラーで「売りやすい」「実物をみて納得してもらえる」と評判で、受注金額増に寄与しているようだ。

テレワーク需要の高まり背景に
在宅ワークスペース付き賃貸が好評

そして特筆すべきは1月に新プランとして追加された「スキップハイ1K」タイプで在宅ワークのスペースを提案し反響が大きかったことだ。

1Kでも在宅ワークスペースを採用

本来は、東京五輪でテレワーク需要が高まることを想定し発売された商品だったが、その直後に新型コロナが発生、自粛生活を余儀なくされる人が全国的に広がるなかでテレワークが急速に広がったことが後押しとなった。

東京都の調査では、テレワークの導入率はコロナ前後で大手・中堅企業で1・8倍、中小企業で2・8倍へと急増しているという。

ミサワホームは2012年に住宅のなかにテレワークできる環境を整えた個室空間を「ミニラボ」として提案し戸建住宅に搭載。住宅メーカーとして初めてテレワーク対応の住宅を開発・発売したことで、2013年に(一社)日本テレワーク協会のテレワーク推進賞を受賞している。

そのミニラボの考えをベースに、在宅ワークスペースを賃貸住宅に搭載したのが今回の新プランで、1Kというコンパクトな空間に、蔵と在宅ワークスペースという同社の二大特徴を併せ持つ。

「テレワークが当たり前な状況のなかで、オーナーさんにも差別化できるとすんなり受け入れてもらえている」(長塚課長)と好評のようだ。
今後は法人ルートも強化していきたい考え。

「この春に在宅でのリモート研修を実施した企業も多く、若手の社員にも自己成長の意欲が高まっています。こうしたニーズへのソリューションとして、社宅などに在宅ワークスペースの導入を訴求していきたい」と期待する。

課題は、ウイズコロナの状況のなかでこれまでのような大規模な集客イベントが組みにくくなっていること。そこはコロナの状況をみながらネットを中心に訴求していきたいという。

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特集:

エリアマネジメントが鍵に

新型コロナ禍で広がったテレワーク。
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エリアマネジメントを通じて、“地元”を活性化する、街づくりのヒントを探る。

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