住宅ローン返済、新型コロナの影響で不安高まる

フラット35等の返済方法変更は5月末までに1206件を承認

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、住宅ローン返済の不安が高まってきている。(独)住宅金融支援機構が発表した、5月末までのコールセンターへの相談件数の累計は2265件にのぼり、返済方法変更の承認件数も1206件となっている。

家と電卓のイメージ

(独)住宅金融支援機構では、新型コロナウイルスの影響でフラット35等の住宅ローンの返済が困難になった人を対象として、相談窓口を設けて各種相談に対応しているほか、返済方法の変更といった措置を講じている。

返済方法の変更については、返済期間の延長や元金の返済に据置期間を設置することで、毎月の返済額を減らすことができる「返済特例」や、一定期間にわたり返済額を軽減する「中ゆとり」、さらにはボーナス返済の見直しといったメニューを揃えている。

お客さまコールセンターへの相談件数は、3月の214件から4月には1158件にまで急増。5月には878件にまで減少したが、5月末までの累計で2265件の相談が寄せられている。

(独)住宅金融支援機構 資料より

返済方法変更の承認実績は、4月が198件、5月が1006件で、累計では1206件に達している。

(独)住宅金融支援機構によると、7月、8月にはボーナス支払いの設定をしている利用者もいることもあり、今後も返済方法変更の承認件数は増える見込みだという。

(独)住宅金融支援機構 資料より

住宅ローンなどについて、金融庁が2月7日に金融機関などに返済猶予等の相談に柔軟に応じるように要請しており、3月6日には麻生太郎 内閣府特命大臣(金融)からの要請も通達されている。加えて、ボーナス返済への柔軟な対応についても要請を行っている。

これを受けて、民間金融機関では相談窓口の設置や返済猶予に関する措置を講じているところだ。金融庁でも「新型コロナウイルスに関する金融庁相談ダイヤル」での相談を受けつけているところだ。

ちなみに、米国の抵当銀行協会(MBA)が4月20日に発表した調査結果によると、全米で約300万世帯が何らかの返済減免措置を得ているという。

緊急事態宣言の解除により、徐々に経済活動が再開されてきており、今後、住宅ローン返済をめぐる状況も落ち着くことも考えられるが、“長期戦”となる可能性が高い新型コロナウイルスとの付き合いのなかで、返済困難者が住宅市場、さらには日本経済全体に与える影響に注視する必要がありそうだ。

また、ボーナス時期を迎えるなかで、ボーナス払いを設定しているローン利用者の今後の動向も気になるところだろう。