日頃から書きなぐっていた取材ノートや備忘メモに埋もれていた諸々を拾い、不定期で自由気ままに綴ってみようと思います。落ちこぼれた種から何か芽が出てくるかな——。

 

地相へのこだわり。凶相は「尾先、谷口、宮の前」


集中豪雨などによる災害は年々増加の一方をたどる。最近は新しく造成した宅地地や建売住宅地での被害も目立つ。そんな話を住宅メーカーのOBとしていたら、家相と同じように地相があり、これが結構、馬鹿にできないといわれた。

例えば、こんなことわざがあると教えてもらったのが「尾先、谷口、宮の前」という言葉。土地として凶相を意味するのだとか。

「尾先」は山裾の突端であり、「谷口」は谷の入口、「宮の前」とは文字通り、神社の向かい側のことを言うのだそうだ。

なるほどとうなずいた次第。山裾の突端は地滑りやがけ崩れの危険があり、最近の土砂災害を見れば明らかである。谷の入り口も、急な豪雨による増水や鉄砲水の恐れがあり、逆に谷風が下から吹き上げてくるなどの危険があるということだ。OB氏は言う。ベテランの山登りをする人たちは、テントを張るときはたとえ一夜のことといってもこの基本が身に付き守っているはず、と。

神社の前というのは、おそらく信仰的なことから来たものだろうという。神様の前に家を作るなど「恐れ多くも、かしこくも」といったところか。物理的な理由ではなさそうだ。

大体、昔から、凶相とされる土地に、神社や寺院、墓地、古戦場などの跡地が言われるが、これはやはり信仰的なことからだろう。

ただ、異論というか、反論もある。地盤という物理的な視点からすれば古戦場跡はともかく、あとは極めて良好な地といっていいからだ。というのも、これらの土地は昔から天地地変(風水害)のない土地であったはずで、水はけもよく地層も堅いのが一般的だからだ。これを一概に退けるのではなく、今は、せっかくの良地、過去の霊を慰め、清めるという気持ちを込めて、地鎮祭をすることで、吉相の土地に代えることができるのではとOB氏。

土地の姿、形は年月とともに変化し、その由来なども風化してしまう。都市部などなおさらだ。地域の古老らから、昔、この辺は何度も戦いの場になった古戦場跡で、ちょっと掘ると人骨が出てきたものだ脅されるような話をされたといったこともよく聞く。縁起でもないと移転したくもなるだろうが、ここはむしろ伝統や歴史のある地域ととらえ、敬虔な気持ちを持つことで、神仏に守られていると前向きにとらえることも大事ではのアドバイスもできるという。

土地の凶相があれば、吉相もある。平らな土地で、東、東南、南が開け、やや低くなっており、西と北に小山があるか森を控えているのが最良とされている。そんな地形を梁土、晋土、魯土などというのだそうだ。言うまでもなく、日当たりが良く、眺望があり、西風、北風を防いでくれるものがあるということだ。まあ、これなども30坪前後の土地取得に汲々としている庶民にとって、こんな理想ともいえる吉相の土地を手に入れるなど、至難の業だ。今の時代、あまり地相にこだわるのはどうか。かといって鼻から無視するのも賢明ではない。家相も地相も今の時代、理に適っているかどうかを見極めることも大事ということか。ただ、こんなAIの時代でありながら、家相・地相にこだわる人が多いのも現実だという。日本の家づくりは奥が深いということか。

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