『心を花盛り』のシニアで一杯に
引きこもり61万人はもったいない
「わが姿 たとえ翁と 見ゆるとも 心はいつも 花の真っ盛り」。独学でわが国の植物学の第一人者となった牧野富太郎の85歳のときの句だ。90歳を過ぎても50万点の標本、4万5000冊の蔵書に囲まれながら研究と著述に励んだ。世界に冠たる超高齢社会の道を突っ走るニッポン国にとって誠に元気、勇気の出る言葉ではないか。
ところが、である。内閣府が実施した調査によると、自宅に半年以上閉じこもっている、いわゆる『引きこもり』の中高年(40〜64歳)が全国で推計61万3000人に上ると言うのだ。これはとかく問題になる15〜39歳の引きこもりの推計54万1000人を上回る数字だ。しかも、引きこもり期間7年以上が約5割というのも驚きだ。引きこもりとなったきっかけはやはり、退職が4割近くを占めるが、人間関係、職場環境、就職活動不首尾など仕事がらみも4割を超えている。まさに働き方に関連しての引きこもりがほとんどと言うことだ。
大体にして、この調査は、対象が64歳までだ。65歳以上はなぜ調査しないのかと言いたい。古希といわれる70歳だが、気力、体力、そしてキャリア充分の70歳はいまや少しも希ではない。ちなみに、これも政府の調査で60歳以上の男女に対して「いつまで働きたいか」の労働参加意欲を聞くと70%以上の人が70歳になっても働きたいと思っている。元気老人が多いのだ。
労働力推計の調査もある。今のままの成り行きでの2025年時点での65〜69歳の労働力率は男性57・6%、女性39・4%だが、これをやはり成り行きでの2025年時点の60〜64歳並みのレベルの労働力率、男性79・1、女性66・6%まで引き上げるとどうなるか。実に167万人の労働力の供給が見込めるというのだ。70歳まではやはり、労働力にカウントしたい。

https://rc.persol-group.co.jp/roudou2030/

https://rc.persol-group.co.jp/roudou2030/
何を言いたいのか。引きこもりの高齢者、働きたいのに働く場所、機会が無い元気老人を外に引っ張り出そうと言うことだ。労働力不足の深刻化が叫ばれ、外国人を助っ人にで、受け入れの新制度までできたが、現下の情勢を見てみると国内にまだまだ働き手がたくさんいる。働かせるのではなく、働ける人、働きたい人を掬い上げる道筋を考えたい。政府の施策も弱者としての高齢者対策ではなく、まさに生涯活躍を促すシニア対策に真剣に取り組んでもいいと思う。
冒頭の牧野富太郎の「心の中は花真っ盛り」──―そんな人生を全うできる社会だったら本当に素晴らしい。そう、高齢者のモットー「きょうよう=教養、きょういく=教育」をもじっての(今日用がある。今日行くところがある)の国策としての実現です。
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