日本住環境 業界初、120分準耐火の通気部材を開発
中大規模木造で躯体換気の重要性を再喚起
日本住環境が、業界初となる120分準耐火の通気部材を開発した。2019年の建築基準法改正で、新たに準耐火構造で建てられるようになった4階建て以上の共同住宅などの市場開拓を狙う。
2019年の建築基準法改正で、準耐火構造で建てられる木造建築の幅が広がった。それまでは耐火建築物でしか建てられなかった、防火地域で200㎡~3000㎡の木造3階建ての共同住宅や、非防火地域で3000㎡以下の木造4階建て以上の共同住宅、戸建住宅などが、条件によって75分、90分の準耐火構造でも建てられるようになった。耐火構造は、鎮火するまで建物の延焼や倒壊を防ぐ造りでなければならないが、準耐火構造は火災が起きてから規定の時間まで延焼を抑制することが目的。そのため、準耐火構造では燃えしろ設計で柱や梁に木材の使用が可能だ。国は、木材利用を推進する目的でこうした法改正を行った。
このような法改正をはじめとし、脱炭素を背景に建築物の木造化・木質化の動きが加速している。一方で、見落としがちなのが躯体換気。木材は長期間水分にさらされるとカビや腐朽菌が発生する。外部から躯体への雨水の浸入を防ぎ、建物内の湿気を外に出す通気部材が必要となる。
ただ、現在90分以上の準耐火構造を取得している通気部材は市場にない。こうしたなか日本住環境が、軒裏換気部材「ep120軒ゼロ」を開発、120分準耐火構造の大臣認定を取得した。

もともと、90分準耐火を目指して開発を始めたが、より長い時間での準耐火構造を達成できる見込みが立ち、120分準耐火の開発へと舵を切った。
準耐火構造の認定は試験体を燃焼し、小屋裏が一定の温度になるまでの時間を測定する。通気部材は木下地に留めつけて使用するが、この木下地が1時間を超えると炭化、通気部材が脱落して小屋裏の温度が急激に上昇する。同社は、遮熱材を選定することで、木下地からの脱落を防ぎ120分準耐火の性能を満たすことができた。

中大規模木造の需要増加を見越して開発
今夏に発売予定
法的に120分の準耐火構造が設定された建築物はまだないが、「より安全性を担保できる商品として75分準耐火、90分準耐火構造が必要な建築物で利用してほしい」(開発担当)考え。また、今後中大規模木造が推進されるなかで、さらに高い性能が必要とされる可能性は十分にあるとして、将来的な需要を見越して技術の限界に挑んだ。
同社は、軒のない無落雪屋根が一般的な北海道から始まった会社であるため、軒ゼロの通気部材に強みがある。特に防火仕様の軒ゼロ通気部材は13年前から販売を行っており、約7割(同社出荷数から計算)のシェアを持つ。「ep120軒ゼロ」の開発にあたっても、ヒット商品の「REV-15」や「SEV-15」を参考にした。
なお発売は今年夏ごろを予定する。
劣化対策として大きな意味を持ち、戸建住宅では一般的になりつつある躯体換気だが、中大規模木造では未だ必要性についての認知度は低い。「お客様へのヒアリングでも、法整備がされている耐震、耐火への意識は高いが、躯体換気は曖昧になっていることが多い」(開発担当)。ただ、躯体換気を行わないと様々な問題が出てくるため、今後の木造建築の広がりとともに、少しずつ“やらなければいけない”ものへとなっていくのではないかとみる。開発担当は、「120分準耐火の商品を市場に出すことが、法整備など、中大規模木造で躯体換気を普及させるきっかけなるかもしれない」と期待を込める。

日本住環境株式会社
03-5289-3302
https://www.njkk.co.jp/
ep120軒ゼロの最新情報はランディングページから
https://www.njkk.co.jp/ep120nokizero/tabid210.html