ジェクトワン、空き家流通の拡大に向け新たなモデル
セルフ売買のプラットフォームを27年3月に立ち上げ
空き家の流通拡大を目的に、27年3月にセルフ売買のプラットフォームを立ち上げる。「アキサポDX」の取り組みの一環で、将来的には川下の事業者と連携した空き家再生のエコシステム構築を目指す。
空き家をコストゼロで活用する「アキサポ」を展開するジェクトワンが、空き家のセルフ売買サービスを立ち上げる。空き家の流動性を高める取り組みで、27年3月を目途にプラットフォームを立ち上げる考えだ。
同社は、空き家問題の本質を「流通しない構造にある」と指摘する。空き家を手放したい・持て余していると考える所有者は多い。一方で、移住や二拠点居住、小規模投資など空き家を欲しい人、活用したい人などは増加している。しかし、経済的に成り立つ形で仲介する仕組みやプレイヤーが存在しない。空き家は取引額が小さいことが多く、仲介報酬はそれに連動する。一方で現地調査、重い説明責任などが伴い、手間と責任に対して経済合理性が働きにくい。「これまでの不動産流通の枠組みのなかで空き家を流通させるのは難しい」(井上雅友執行役員)。
こうした状況の打破に向け、同社が「空き家の解決スピードの最大化を図る」ことを目的に打ち出したのが「アキサポDX」。DXによりエコシステム構築を目指すもので、今年1月に第一弾となる査定AI「空き家のコタエ」をリリースした。AI活用により活用・売却・除却の選択肢を最小入力で可視化する。
この「空き家のコタエ」に続く第二弾として明らかにしたのが、セルフ売買のプラットフォームだ。売主(空き家所有者)と買主・投資家が直接売買を行う直接マッチング・交渉の場となる。いわば“空き家のメルカリ”である。
プラットフォームのベースとなるのが「空き家のコタエ」であり、AI査定による価値の可視化を図り、物件情報の整備と開示を行う。売主は査定値をみて活用・売却・除却の3つの出口から自ら選択して出品する。これまでの仲介と異なり売主・買主の情報の非対称性が縮まるため個人間でも安心して取引が成立するセルフ売買の支援の場となる。また、希望時にはプロのサポートを受けることができるようにもする。
このモデルのポイントは、ジェクトワンが仲介会社として介在しないことであり、収益は定額のシステム利用料を想定している。「“量”を重視するモデルで、これまで市場に乗らなかった物件の流通量そのものを増やしていくことが目的。重要事項説明が発生しない、仲介ではない取引モデルを目指す」(井上執行役員)と話す。利用料は一般的な仲介手数料の1/4程度を想定している。同社では、空き家総数約900万件のうち売却意向をもつ所有者は約62万件と推計。その5%にあたる約3万件の流通創出を目指す。
懸念されるのが不動産という高額な取引を個人売買で行う上でのトラブルだろう。同社では、トラブルとならないような売主・買主の双方に対する情報の可視化、また、サービス主体者としての責務の範囲などの詳細を詰めている。
同社では「アキサポDX」の将来像として、施工・解体・活用など川下の事業者と連携しセルフ売買後の再生にまでつながるエコシステムへの拡張を描いている。
個人間不動産売買のプラットフォームとしては、2015年にサービスを開始し10年間で1300件以上の実績を持つ「家いちば」、地域密着型掲示板サービスの「ジモティー」、合同会社9が運営する「イエルモ」、タイニーハウスなどを展開するYADOKARIがあきやカンパニーと連携した「空き家ゲートウェイ」などがある。
マスマーケットでは流通しづらい空き家の流通拡大において個人間売買が注目を集めそうだ。
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