住宅トラブルのトップ“雨漏り” 事故多発箇所から対策を考える

 

漏水事故は、長年にわたり住宅トラブルのトップを占めている。住宅の高気密化、“軒ゼロ住宅”など住宅形状の変化、異常気象による豪雨の増加などにより、漏水事故の発生リスクは減るどころかむしろ高まっているともいえる。防水対策に取り組むことは、住宅事業者にとって、顧客からの信頼を獲得するための「基本中の基本」であり、避けては通れない取り組みだ。どのようなメカニズムで漏水事故は発生するのか、どの部位で漏水事故は多発しているのか、どのような対策が有効なのか、住まいの品質管理のプロ、また、「防水副資材」を扱う各社の担当者に聞いた。

「壁・開口部・取り合い部」で雨漏りが多発

住宅の品質を左右する要素の中で、雨漏りは非常に大きな問題だ。国土交通省が公表した「住宅品質確保法・住宅瑕疵担保履行法の施行状況について」(平成31年3月までの累積)を見ると、保険事故の93%は雨漏りとなっている。また、雨漏りというと、浸入経路として屋根を想像しやすいが、保険事故の調査を見ると、最も多いのが外壁開口部で、次いで外壁面からの浸入が多いのが実態だ。

(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターによると、雨漏り事故は、新築木造戸建住宅での保険事故の9割以上を占めている。また、雨水の浸入箇所では、外壁開口部が最も多く29・6%、次いで外壁面の26・2%と続く。「屋根(約20%)」よりも、「外壁開口部」と「外壁面」を合わせた壁まわり(約55%)の方が圧倒的に多く、全体の過半数を占めている。さらに、バルコニー等の取り合い部を含めると、全体の約7〜8割が「屋根そのもの」以外からの漏水だ。

では、なぜ「壁・開口部・取り合い部」で雨漏りが多発するのか。主な要因の一つは、「防水の連続性を保つ難しさ」だ。屋根面のような「一枚の面」に対して、外壁とサッシの接合部(開口部)や、外壁とバルコニーの接合部は、防水シートや防水テープ、シーリング材を複雑に組み合わせる必要がある。この「異種材料の接合部(取り合い)」の施工不良が雨漏りに直結している。

「軒の出の減少」も大きく影響している。近年の都市部の住宅では、敷地境界線の制限やデザイン性の流行から「軒の出(屋根の飛び出し)」がほとんどない、あるいは極端に短い住宅(軒ゼロ)が増えている。軒がないと、雨が直接外壁や窓に強く吹き付けるため、壁面や開口部からの雨水浸入リスクが跳ね上がる。

雨漏りを防ぐ設計思想
「防水・雨仕舞・通気」の三位一体

「住宅を供給する側には、契約通り、そしてルール(施工要領)通りに機能する建物を引き渡す『製造物責任(PL責任)』がある。職人任せにするのではなく、第三者の目によるチェック体制を整え、施工要領書の意味を現場全体が正しく理解して施工に臨むことこそが、雨漏りリスクを最小限に抑える唯一の道」と話すNEXT STAGEの山下氏

住宅の第三者品質監査サービスを主軸に展開し、住宅の品質向上を支援するNEXT STAGEの技術マネジメント部一級建築士の山下陽平氏は、「多くの施工業者や職人が『雨漏りは100%防げる』と自信を持って言いたいところだが、現実には材料やコーキングの経年劣化が避けられないため、完全に防ぎ続けることは不可能。しかし、経年劣化によるやむを得ない事態を除けば、雨漏りが発生する原因と場所、そしてそれを防ぐための正しい施工方法は明確に分かっている。それにもかかわらず雨漏りが減らない理由として、施工を担う業者や職人に正しい知識が浸透していないという業界全体の課題がある」と指摘する。

また、「雨漏りを防ぐためには、『防水』『雨仕舞(あまじまい)』『通気』の三つのバランスが重要になる。どれか一つだけに注力しても雨漏りは防げない」と話す。防水は文字通り「水を防ぎ止める」こと、雨仕舞は「水を溜めず流す」こと、通気は入ってしまった「水や湿気を留めない」という設計思想だ。

「防水の基本的な考え方は、水分が建物内部へ浸入するのを『完全に防ぐ』ことではなく、『浸入を遅らせる』ことにある。そして、万が一水が浸入してしまった場合に、それを素早く排出する役割を担うのが『通気層』。浸入した雨水を通気層からスムーズに逃がす構造を作ることで、建物の建材が濡れたままになるのを防ぐことができる」(山下氏)。

住宅の中で最も雨漏りリスクが高い部位は、具体的にどこなのか、どのようなメカニズムで漏水事故が発生するのか、どのような対策が有効なのかを見ていこう。「防水副資材」を扱うメーカー各社は、対策商品をラインアップし提案を強化している。

特に注意の漏水事故多発箇所はここだ!

1 サッシ周り
室内側の負圧で雨水が内部に

住宅の漏水事故が最も多いのが、外壁開口部(サッシ周り)だ。発生箇所や頻度は依然として減少していない。その背景には、近年の高気密・高断熱住宅の普及がある。日本住環境の総合企画部の小林輝久部長は「住宅の気密性能が向上したことで、室内が『負圧(外より気圧が低い状態)』になりやすくなった。建物全体がひとつの強固な『器』となった結果、外壁やサッシ周りの防水処理にわずかでも曖昧な部分があると、室内側の負圧によって外の雨水が内部へ強力に引き込まれる事故が発生している。また、雨水だけでなく『内部結露』も漏水に似た症状を引き起こすため、防水だけでなく、気密や通気、調湿をセットで考えることが不可欠となっている」と話す。

日本住環境の「ウィンドウ・シールド」の施工例。様々なサッシサイズへの対応が行いやすく、スムーズに窓まわりの防水処理が行える

同社は、外壁開口部(サッシ周り)に使用する商品として、ポリエチレン樹脂製の一体成型の窓下水切り材「ウィンドウ・シールド」、一体成型コーナー防水材「シールドコーナーS」を用意する。「ウィンドウ・シールド」は、独自形状のEPDMパッキンと両面テープがついた水切りシートで、不陸のない綺麗な納まりを実現。タッカーなどを使わずに施工できる施工性の良さもポイントだ。サッシの角には「シールドコーナーS」を併用することで、サッシのピンホールからの雨水浸入を完全ブロックし、スムーズにサッシ周りの防水処理ができる。

サッシ周りでは、気密性能向上による負圧引き込みに加え、防水処理を頑張りすぎることで下部がプール状態になるリスクもある。四方をテーピングで完全に塞いでしまうと、万が一水が入った際に排出できなくなるため、下部から吐き出す設計も有効だ。同社では「吐き出す」設計と「入れない」設計の両方を検査機関への提出書類で対応し、施工会社が選択できるようにしている。実際には漏水事故を経験した会社は「吐き出す」設計を選ぶケースが多いという。

NEXT STAGEの山下氏は「サッシ周りの防水テープ処理における最大の不備は、『テープの圧着不足』。職人がテープを貼る際、手でさっと表面をなぞるだけで終わらせてしまうと、見た目は貼れているように見えても、実際にはミクロの隙間が残ってしまう。この未密着部分に水が触れると、毛細管現象によって水が上部へ吸い上げられ、室内へ雨水が浸入する。さらに、テープと防水紙の相性が悪く、施工後にシワが寄って隙間ができるケースや、タッカーの針穴から水が浸入するケースもある。対策として、最近の先進的な建築会社では、内装のクロス仕上げで使うような『ローラー』を用いて、防水テープを強く壁面に圧着させることを施工ルールとして徹底している」と注意を促す。

フクビ化学工業の「ウェザータイト」サッシ用の施工事例。2003年の発売以来、サッシ回りの防水成型品として採用が進んでいる

フクビ化学工業は、防水副資材の成型品のパイオニアだ。2003年に「サッシ用」の商品を発売して以降、「パイプ用」、「バルコニー用」とラインアップを追加、雨漏りしやすいウィークポイントをカバーする樹脂成型品を「ウェザータイト」シリーズとして展開している。下枠から漏水しやすい箇所にも、一体形成品であり、職人の熟練度に左右されにくいため、確実な防水施工を可能にする。

ウェザータイトの成形品には、現場での使いやすさと防水性を両立させるための緻密な設計が施されている。荷重がかかる部位や強度が求められる部分は肉厚にし、逆に防水テープを上から貼り重ねる部分は、段差(隙間)ができないように意図的に肉薄にするなど、シチュエーションに応じた厚み調整がなされている。また、特徴的な「緑色」を採用。これにより、施工後に検査官や現場監督がパッと見ただけで「同社の正規品(ウェザータイト)が正しく使われているか」を確認でき、施工管理のしやすさにも貢献する。着工数が減少傾向にある中でもウェザータイトの販売は安定しており、新製品を追加するたびに伸びている。

2 換気口や配線などの貫通部
施工方法が会社や現場ごとにバラバラ

換気口やエアコン、電気配線などのために外壁を貫通するパイプ周りも、非常に漏水リスクが高い部位だ。一部の大手ハウスメーカーでは独自の防水マニュアルが整備されているものの、中小の工務店や住宅会社が自社で完璧なマニュアルを準備して徹底することは難しく、施工方法が会社や現場ごとにバラバラになりがちだ。現場ではテープだけで簡易的に処理されていることが多く、経年劣化や施工不良によって隙間が生じ、激しい漏水(負圧による引き込み)を引き起こしている。

日本住環境は、大小さまざまな貫通部に対応する「ドームパッキン」「ゴムパッキン」シリーズをラインアップしている。50~150φに対応する大径タイプと、14~28φのCD管・PF管向け、50~75φのスリーブ向け小径タイプがある。大径タイプは24時間換気の自然給気口(100φ)や排気筒(150φ)、浴室換気扇などに使用され、小径タイプはエアコン配管やバルコニーのオーバーフロー管、インターホンの電気配線などに使用される。「大径タイプは約6割程度まで普及が進んでいる一方で、小径タイプはまだ認知が低く、テープ処理で済ませているケースが多い。その理由として、大径タイプは大工が施工するのに対し、小径タイプは電気工事業者が施工するため、職種の違いによって認知が分断されている。太陽光発電の普及により電気配線が増加し、12〜13本をまとめてCD管に通すケースも増えており、今後さらに防水処理の重要性が高まる」(総合企画部 小林部長)と危機感を募らせる。

また、これらの商品は外壁側(防水用途)だけでなく、「部屋内側(気密用途)」にも兼用で使える点が大きな特徴。他社製品が「外は外、中は中」と分かれているのに対し、同社製品は1つの部材で外の防水と中の気密を同時に確保できるため、職人の手間の削減と確実な施工を実現している。

日東エルマテリアルは、貫通部の確実な防水、品質の標準化、簡易施工と施工時間の短縮を実現する「LSパイプスハット」を展開している。貫通部の防水・気密を一発で仕留めるため防水層(粘着面)と基材(表面)を複合させた成型品だ。名前は、昔ながらの「シャンプーハット」のような形状に由来している。

日東エルマテリアルの「LS パイプスハット」。貫通部の確実な防水、品質の標準化、簡易施工と施工時間の短縮を実現する

防水層には、親会社である日東電工の技術を活かした、高い防水性を持つブチル系の粘着剤を使用。基材には、グレーの柔らかいポリエチレン発泡体を採用。水を通さないだけでなく、適度な「コシ(硬さ)」と「伸び(追従性)」を持ち、配管のサイズに合わせてしっかりとフィットする。

通常、粘着面がむき出しの成形品は配管に引っかかってスムーズに装着できない。同製品は、「初期段階では粘着層の剥離フィルムを滑らせて挿入し、位置が決まった後に剥離フィルムを引き抜く事でブチルテープの粘着面を取り出す」という独自の作り方をしており、この手法と形状で特許を取得している。裏面の剥離フィルムが分割されており、まず外側を剥がして位置決めをした後、内側を剥がして2段階でしっかり圧着。製造時にブチル粘着層側には一切刃(カット)を入れない工法で作ることで、施工中に粘着層が裂けるリスクを軽減している。誰が施工しても均一な防水性能を確保できることが最大の特徴だ。

同製品は、大手ハウスメーカーからの「施工不良や雨漏りリスクを極限まで減らしたい」という強い要望から開発された経緯があり、現在では多くの大手ハウスメーカーで標準仕様、あるいは気密・防水の推奨部材として採用されている。また、大手建材メーカーの専用部材としてラインアップされているほか、瑕疵保険に関わる検査機関の防水マニュアルにも特定の推奨工法として掲載されている。発売から10年以上が経過しており、径のラインアップは21㎜から135㎜まで揃え、日本の塩ビパイプ等をほぼ網羅している。

同社営業統括部門 製品企画部の田村崇部長は、「一度使用すると他の施工方法に切り替えにくくなる。これまでこの製品を正しく施工して水漏れクレームが発生したことはない。また、近年、施主がYouTube等のSNSを通じて『建築現場の防水チェックの重要性』を学び、実際に現場へ見学に来るケースが増えている。防水テープがベタベタと不均一に貼られた現場は施主に不安を与えるが、これらの成形品で綺麗に美しく収まっている現場は、『この住宅会社は防水にしっかりと気を配っている』という目に見える安心感につながり、ビルダーの信頼性を高めるツールとしても高く評価されている」と話す。

フクビ化学工業の「ウェザータイト」シリーズのパイプ用は、軟質系の樹脂を採用し、配管にしっかりとフィットする。長期の使用に伴う伸びや引張状態による裂け(耐久性)の検証も十分に実施されている。住宅の大空間化に伴う換気容量の増加や、非住宅・木造の大規模建築物の増加に対応した、大口径(200㎜)用など配管径に幅広く対応できるよう、充実したラインアップがある。

3 バルコニーの笠木部分
「透湿防水シートを巻いて終わり」はバツ

バルコニーの笠木部分も漏水事故が多発しやすい注意箇所だ。「透湿防水シートを巻いて終わり」とする施工が主流だが、これではシートに穴が空いた際に容易に水が浸入してしまう。

田島ルーフィングの「ウォーターブロックシステム」。防水テープや増張りシートなどの副資材を組み合わせトータルシステムで雨を防ぐ

こうした課題に対応して田島ルーフィングは、「ブチルテープ(両面)」および「水切りシート500(アスファルト系)」「先張防水シート500(アスファルト系)」を組み合わせ、笠木の天盤部分にまず「ブチルテープ(両面)」を貼り、その上から防水性の高い「アスファルト系水切りシート(鞍掛けシート)」を施工する二重の備えとして「ウォーターブロックシステム」を提案する。

手すりなどの固定でビスを打つ際、ドリルで揉んだときに出る「木くず」が水を呼び込む原因になるが、ブチルゴムがこれらを巻き込んで確実に止水する。

田島ルーフィングの「壁止まりシート」の施工例。透湿防水シートを施工する前に「先張り」として差し込むことで、軒先まわりの防水性を完全に連結・連続させる

また、壁との取り合い部分には、専用の水切りシートと共に、100mm×200mmのサイズで30mm幅で非常によく伸びるブチルゴム素材のテープ「ノービルテープ」の使用を推奨しており、入隅・出隅・コーナー部分やパイプ周りなど多様な箇所に対応できる。他社の成型品と比べて、ノービルテープは一つの規格で全箇所に対応できる汎用性が差別化ポイントだ。

フクビ化学工業は、外張り断熱材(フェノバボード等)の普及に伴い、バルコニー笠木部分での出幅増加に対応するため、ウェザータイトのワイドタイプを開発中だ。既存品では重ねが取れなくなるケースがあり、問い合わせも寄せられていた。断熱等級6への対応として外張り断熱材の採用が増えており、断熱材の厚みが増すほど両側が離れてしまうため、100mmまで対応できる設計にしている。2026年内に発売する計画だ。

4 下屋の立ち上がり 出隅、入隅
水が回り込むピンホールの原因に

屋根と壁が接する「下屋(げや)の立ち上がり部分」や、壁の「出隅(ですみ)・入隅(いりすみ)」といった、激しい漏水リスクに晒される三次元の複雑なコーナー部分も漏水事故の危険性が高い箇所だ。

下屋の立ち上がりなどは、ルーフィング(防水シート)を切断のうえ折り込んで納めるため、施工が非常に複雑になる。何枚もテープを重ねるとゴワゴワして隙間ができ、逆に切り込みを入れすぎるとそこから水が回り込んでピンホール(微小な穴)の原因になるのだ。

日東エルマテリアルは、出隅・入隅部分の防水に対応する、それぞれのオリジナル製品をラインアップ。ワンタッチで隙間なくピンホールを抑え込める構造になっている

NEXT STAGEの山下氏は「この部位に防水テープを貼って隙間を塞ぐという明確なルールは、業界一般の標準仕様として広く義務付けられているわけではない。そのため、多くの施工現場ではテープ処理がなされていない。仮に一部のメーカーの指導でテープを貼る場合でも、単にピンホールを隠すように『ちょんと貼る』だけでは不十分。シートの継ぎ目から水が回り込んでしまうため、水が回り込んでいくルート全体を予測し、広範囲にテープを密閉して水の進路を潰す施工が求められる」と指摘する。

これに対応するため、田島ルーフィングは「壁止まりシート(改質アスファルト系防水シート)」を開発・提供している。ハウスメーカーからの「現場でシートをカットするとサイズがまちまちになるため、プレカット化してほしい」というニーズを受けて開発。既存の「500mm×20m」の製品を、現場で使いやすい「500mm×1m」にプレカットし、40枚入りで梱包。透湿防水シートを施工する前に「先張り」として差し込むことで、軒先まわりの防水性を完全に連結・連続させる。

日東エルマテリアルは、出隅・入隅部分の防水に対応する、それぞれのオリジナル製品をラインアップしている。非常によく伸び縮みする防水テープをベースにしつつ、「伸びてほしくない部分」にあえて銀色のアルミテープを複合させて伸縮を拘束(コントロール)している。これにより、職人が手作業で引っ張りすぎて後からテープが縮んで剥がれようとする現象を防ぐ。複雑な三次元の形状に対して、切り込みを何枚も入れることなく、ワンタッチで隙間なくピンホールを抑え込める構造になっている。この製品も特許取得済みである。

5 屋根端部のケラバや軒先
雨風の吹き上げを最も強く受ける場所

屋根の端部であるケラバや軒先は、雨風の吹き上げを最も強く受ける場所であり、雨樋から跳ね返った水も当たりやすい過酷な部位だ。近年は野地板の木部がむき出しのままになっている住宅も多く、水がかかり続けることで木材が腐食し、最悪の場合は屋根が脱落する重大事故につながっている。都市部では防火規制から指摘が入るものの、地方では対策が甘く、単にペンキを塗っただけで済まされているケースが少なくない。

日本住環境の「REV-15」。ケラバ部分の保護と通気を両立する鋼板製の防水・通気部材だ

日本住環境では、ケラバ部分の保護と通気を両立する製品として鋼板製の「REV︲15」を展開する。「性能」「施工性」「美観」の共存をさらに高いレベルで追求する新ブランド「MIKATA(ミカタ)」の中でも特に人気の商品だ。この部材を木部に被せることで、雨水による木材の腐食を完全にシャットアウト。雨水の浸入を徹底的に防ぎながら、小屋裏の必要な通気量をしっかりと確保する。総合企画部 小林部長は「発売から8〜9年が経過した現在も売上が二桁増の成長を続けている。軒ゼロ住宅向けに開発されたが、軒がある住宅にも使用できることが現場からのフィードバックで判明し、万能な製品として評価されている。屋根屋からも施工しやすいと好評」と話す。

田島ルーフィングは、軒天周りについて、先張りシートを一周回して施工することを推奨している。住建営業部 住建特需課 特需グループの髙山岳グループリーダーは「風雨時に水が巻き上げられて浸入するリスクがあり、軒天が先に施工される現場では、後から透湿防水シートを一番上まで巻き上げることが困難になるため、先張りシートを事前に施工しておくことが重要である」と説明する。

また、首都圏を中心に増加している「軒ゼロ」住宅に対応するため、「とりあいルーフィングF」という専用製品を提供している。「軒ゼロ住宅」や、片流れ屋根の頂部、ケラバ部分は、屋根のルーフィングと外壁の透湿防水シートの防水連続性をいかに保つかが重要になる。この製品は不織布ベースで柔軟性が高く、屋根ルーフィングと外壁透湿防水シートをつなぐ役割を果たす。安価なルーフィングでは硬くて巻き込みにくく、破れや膨らみが生じていた箇所の防水連続性を確保。屋根ルーフィングと外壁シートを綺麗に繋ぐ。

部材売り中心からソフト面の提案も強化

漏水事故が発生しやすい箇所はわかっている。どのような施工が有効なのか対策も確立されている。また施工品質を均一化する製品も充実している。残された最大の課題は、住宅事業者、施工業者への認知度を高めていけるかだ。

NEXT STAGEの山下氏は「現場の施工ミスや雨漏りが減らない背景には、施工会社や職人が『メーカーの施工要領書(マニュアル)を軽視している』という根深い問題がある」と指摘する。「建築基準法第37条に基づき、大臣認定やJIS・JAS規格を満たした建材を使用する際、その認定条件を担保するために定められているのが施工要領書。つまり、要領書の通りに施工しなければ、本来はその家で使ってはいけない建材を扱っていることと同義になる。この遵守意識が現場では非常に希薄。サッシ周りのテープの貼り方や部材の重ね順などはメーカーごとに異なるため、一歩間違えれば重大な瑕疵につながる。品質向上を徹底している建築会社では、新しい職人が現場に入るたびに、施工要領書を基にした『読み合わせ(事前ミーティング)』を監督と職人の間で行っている。『どの順番で重ねるか』『どこに不備があると、どう水が回るか』を事前にシミュレーションしている会社は、明らかに瑕疵の発生率が下がっている」。
住宅事業者、施工事業者の防水の正しい施工に関する意識をいかに高めていけるか。この課題に対して、ソフト面の取り組みを強化するメーカーの動きも活発化している。

日本住環境の強みは、防水と通気・気密をセットで提案できることであり、防水材のみを扱う他社との差別化になる。そこで、こうした強みをわかりやすく説明する営業ツール「雨・湿気から住まいを守る!家づくりのための防水ガイドブック」の制作を進めている。
防水だけでなく気密・通気もセットで考えることの重要性を伝えるための「最初の一歩」という位置づけだ。シンプルで見やすいデザインを意識し、情報を詰め込みすぎず、ビルダーや施工者が防水に関心を持つきっかけになることを目指している。秋口までに供給を開始する予定だ。

田島ルーフィングは、これまでは製品の性能やPRを中心とした「部材売り」の営業が中心であったが、施工品質のバラつきや業者間の「手の取り合い」による事故を根本的に防ぐため、今後はビジネスモデルをシフトする。

髙山岳グループリーダーは「部品単体を売るだけでなく、ビルダーに対して『御社専用の標準施工仕様書を一緒に作りませんか』というテクニカル提案のアプローチを実施していく。仕様書の作成にとどまらず、現場での施工指導、勉強会、研修会、説明会をセットで提供することも検討している。すでに仕様が確立している大手ハウスメーカーではなく、地域で自社施工を行う地場の中堅ビルダー・工務店をコアターゲットとし、1社1社に深く入り込む営業を展開していく」と話す。

フクビ化学工業では、「エアテックス」「遮熱ルーフエアテックス」「ウェザータイト」「防水テープ」の「セット提案」を強化。システム全体として高い防水性と安心感を提供する

フクビ化学工業は、ウェザータイトの販売と共に、「部材だけでなく、テープの貼り方を含む施工手順の遵守が漏水防止に不可欠」との考えから、施工マニュアル・動画の整備にも力を入れている。ウェザータイトシリーズには「動画に直結するQRコード」を記載した施工説明書を同梱。現場でスマートフォン等から読み込むことで、その場ですぐに正しい施工手順の動画を確認できる。これにより、「職人の自己流」「日本語に不慣れな外国人労働者であっても、視覚的に正しい手順を理解できる」「現場監督が職人に対してその場で動画を見せて指示・徹底できる」といったメリットが生まれている。

併せて同社が強化するのが、シート・部材・テープの「セット提案」による安心感だ。同社は、壁用の透湿防水シート「エアテックス」シリーズや屋根用の透湿ルーフィング「遮熱ルーフエアテックス」も長年製造・販売している。漏水リスクを完全に抑えるためには、「透湿防水シート・透湿ルーフィング」「ウェザータイト(防水部材)」「防水テープ」の3つを同一メーカーの純正品で揃え、セットで使用することを推奨する。

同社の建材開発部では「部材やシートと、それらを接着するテープには化学的な『相性』があり、当社では、自社のシート、部材、ブチル系・アクリル系防水テープの組み合わせについて事前に徹底した検証を行っているため、システム全体として最も高い防水性と安心感を提供できることが最大の強みとなっている」と話す。

住宅の長寿命化や高断熱化が進む今、わずかな雨漏りが構造体に与えるダメージはかつてないほど大きい。「知っている」と「正しく施工できている」の間にある溝を埋めるため、優れた防水副資材の導入と現場の教育・管理の徹底が、これからの住宅事業者が勝ち残るための必須条件となる。