イノアック、サンゲツが水平リサイクルスキーム確立 使用済み建材の資源循環モデルを構築
建材分野で、使用済みの製品を再び同じ製品として再生する「水平リサイクル」の取り組みが加速している。
イノアックコーポレーションは2月10日、製造工程で発生した自社のウレタンフォームの端材を、再生原料化し、再生ウレタンフォームとして発泡する工程を開発したと発表した。ウレタンフォームは再原料化が難しい熱硬化性樹脂であることに加え、国内では高度な専門性を背景に原料メーカーと発泡メーカーの事業領域が明確に分かれており、これら2つの要因が日本において包括的なケミカルリサイクルを構築するうえで大きな壁となっていた。この課題に対して同社は、独自の実証機を導入し、自社の製造工程で発生した端材を化学的に分解・再生することで、再原料化に成功。また、この再生ウレタンフォームは、同社従来の素材と同等レベルの性質であることが検証されている。現在、社内で発生した端材を対象に量産体制の確立を進めており、「rePURous(リピュラス)」というブランド名で展開していく予定だ。さらに、将来的にはマットレスなど市場で役目を終えた使用済みウレタンフォームもリサイクルできるよう、さらなる開発に取り組んでいきたい考えだ。
一方でサンゲツは、2月9日に帝人フロンティアと共同で、不要・使用済みポリエステル製カーテンを、新しいカーテンとして再生する「水平循環リサイクルシステム」の運用を開始。日本全国に幅広い販売網を持ち、使用済み自社カーテンの回収スキームを推進してきたサンゲツと、リサイクル技術やサプライチェーン構築力を有する帝人フロンティアが連携することで、不要となったポリエステルカーテンを、ポリエステル原料へ再資源化し、原材料の一部に使用して新たなカーテンとして商品化するスキームの構築を実現した。
建材の水平リサイクルの動きが高まりを見せる大きな要因が、環境負荷削減への社会的要請だ。建築部門は、世界のCO2排出量の約4割を占めるとも言われる。運用時の省エネに加え、建設時に排出されるエンボディド・カーボンの削減が国際的な課題となっている。この課題への対応として、資材の水平リサイクルを行うことで、製造時のエネルギー負荷を劇的に削減することができる。
例えば、アルミ分野では、昨年秋にLIXILがリサイクルアルミ比率の下限を60%に設定した「PremiAL」を全アルミ建材に標準採用したほか、YKK APはリサイクルアルミ使用比率100%の「Re・AL」の物件対応を開始、三協立山もリサイクル事業者5社と「サーキュラーエコノミー(CE)チャレンジャーズ」を結成するなど、技術確立と実用化が進んでいる。アルミニウムは、新地金から製造するのに比べ、スクラップから再生する場合に必要なエネルギーがわずか3〜5%程度で済むとされ、水平リサイクルの効果が特に大きい素材の一つだ。
また、円安進行による資材価格の高騰を背景とした、資材安全保障の観点も強まっている。石膏ボード業界では、吉野石膏の「タイガーR100」、チヨダウーテの「チヨダサーキュラーせっこうボード」などの水平リサイクル商品が市場に投入されている。石膏ボードは、原紙は古紙からつくられ、石膏は火力発電所や金属工場で生成される副産物を利用できるため、もとより製造時の環境負荷が小さい認識が根強い。建築物の建て替えに伴う廃石膏の増加に加え、石膏の一部は海外から輸入された天然石膏を使用していること、副産物由来や海外輸入での供給は安定性がないことなどから、「ボードtoボード」が推し進められている。
水平リサイクルは環境対応にとどまらず、企業の競争力を左右するテーマへと位置づけを変えつつある。
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