New   2025.12.25

ディスプレイ付き内装ドア、KAMIYAが発売 住宅市場向け新製品の概要

 

KAMIYA(神奈川県伊勢原市、神谷忠重代表取締役社長)は、11月12日に映像表示機能を内蔵した
室内ドア「MILAOS(ミラオス)」を発売した。室内ドアをメディアとして活用することで新たな暮らしの価値を生む。

KAMIYAは、1942年に神谷木工所として横浜に創業、戦後は米軍住宅用家具の製造や船の内装工事などを行ってきた。その後、造船不況に見舞われると、大手ハウスメーカーの委託によって建材の製造などを行うが、97年に日本がデフレに突入すると、その事業も厳しさを増すことになった。こうしたなかで、同社は「ドアを単なる間仕切りではなく、空間を演出するものにしたい」(神谷忠重 代表取締役社長)として、2005年に自社ブランド「フルハイトドア」を創設。枠やレールなどのデザインのノイズとなる要素をなくし、ドアの高さを天井に合わせることで、空間の広がりと開放感を最大限に引き出した。この独自デザインが、現代のインテリアスタイルと高い親和性を持ち、市場から大きな評価を獲得。10年間、請負事業との並行期間を経て、現在は「フルハイトドア」の専門メーカーとして事業活動を行っている。

内装ドアに次の価値を

室内ドア「ミラオス」に映像を映した様子

新商品「ミラオス」は、「フルハイトドア」の高いデザイン性を維持しながら、デジタル技術と融合させることで、未来の住まいに求められる利便性とデザイン性を両立させている。デジタル機能を融合させたモデルだ。ドア中央にモニターを内蔵し、電源ONで映像を表示。スマートフォンとのミラーリングにより、動画視聴、ビデオ通話、写真表示など多様な用途に対応する。

例えば、自宅で動画を観ながらヨガやゴルフ練習を行う際、スマホ画面では動作確認が難しいケースもあるが、ドアに映像を投映することで両手を自由に使え、姿勢を保ちながら視聴できる。また、視線が自然と前方向に向くため、長時間視聴でも「スマホネック」を避けられる点も利点だ。モニターをドアと一体設計することで、居室スペースの有効活用にもつながる。

扉表面には艶消しブラックの鏡面パネルを採用。OFF時にはモニターの存在を視覚的に消し、空間へ自然に溶け込む仕上がりとした。

開発のきっかけは、社内のエイプリルフール企画で生まれた「ボタン一つでデザインを変えられるドア」のアイデア。「ドアの扉に映像を映すことができたら面白いのではないか」(神谷社長)との着想から開発が始まった。開発にあたっては、「ドアを開発するための知識に加えて、電波法などモニターを取り付けるための勉強に苦労した」(開発責任者 安藤浩行 常務取締役工場長)という。また、表面仕上げについても改良を続けていきたいとした。モニターは特許技術により、ドアの裏面からパネルを取り外して交換することができる。音の再生は、音質の観点から別売りのサウンドバーの利用を推奨する。サウンドバーは、再生する映像によって音質を変えることができるため、スマホやタブレットで見るよりも迫力のある映像体験ができる。

販売価格は税抜50万円~。将来的には「木目デザインの追加や、より生活に溶け込むアプリ開発にも取り組んでいきたい」(安藤常務)としている。