New   2025.11.21

(一社)プレハブ建築協会、低層共同賃貸の長期優良認定増加

ZEH-M供給率も4割超に伸長

 

(一社)プレハブ建築協会が「住生活向上推進プラン2025」の24年度実績を公表した。
課題であった低層共同賃貸の長期優良住宅認定取得率が大幅に高まった。

住生活向上推進プラン2025とは、国が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への対応を考慮した同協会住宅部会の5か年計画(21~25年)で、24年度の結果を公表した。

住宅性能表示の設計・建設性能評価取得率については、戸建住宅85%、共同住宅10%の目標を掲げている。24年度実績で戸建は設計85.8%(前年度から1.7%ポイント減)、建設83%(同0.6ポイント増)。共同は設計11.5%(同4ポイント増)、建設7.6%(同2.1ポイント増)となった。省エネラベルの普及促進では、BELS取得率が戸建22.3%(同2.5ポイント増)、共同69.0%(同35.1ポイント増)と、特に共同で大きく伸びた。

長期優良住宅認定の取得率では、戸建が84.9%(前年度85.6%)とやや下がったが、低層共同賃貸の数値は0.5%から7.6%へと大幅に高まった。低層共同賃貸は昨年度から新たに設けた項目で、年度内の完工に寄与した戸数が少なかったため低い数字にとどまっていた。プラン推進委員会の本間克己委員長は「前年度の数字が伸びず、協会内で危機感を共有できた。建物完成のタイミングのずれで予定していたものが24年度になり、数字を押し上げたのも一因」と説明。低層集合住宅事業分科会の野島純代表幹事も「22年10月の認定基準改訂で非常に取り組みやすくなった」と補足した。

「住生活向上推進プラン2025」主な成果管理指標目標と24年度結果

戸建のZEH供給率(※Nearly ZEH以上)は昨年度85.3%で目標の85%を上回ったため、新たな目標数値を87%としていたが、それを超える88.1%となった。分譲住宅でのZEH率は94.4%、注文住宅は87.1%といずれも微増した。外皮性能は等級5相当以上の断熱等級を満たす住宅が96.9%(前年度比4.9ポイント増)だった。

低層集合住宅におけるZEH-M供給率も前年度比15.5ポイント増の41.3%と大きく伸び、25年度目標を先行して達成した。24年度の供給2931棟のうち、Nearly ZEH-Mが82%を占める。また、一次エネルギー消費量削減率も65.3%となり、25年度目標を達成した。新築集合住宅における各社の断熱性能の向上が一層進み、等級5相当以上の住宅が前年比31.3ポイント増の98.6%、特に等級6以上は前年比65.1ポイント増の76.4%と大きく伸びた。太陽光発電システム設置も20.1ポイント増の66.9%となった。

ストック住宅断熱・省エネリフォームによる一次エネルギー消費量削減貢献量は、昨年度に2020年度比目標の30%を上回ったため、50%増へと引き上げていたが、50.5%と目標を上回る結果となった。工場生産の総CO₂排出量は、13年度比73.7%減となり、昨年引き上げた目標値70%を達成した。工場の供給量の減少(13年度比41.8ポイント減)、燃料から電気へのシフトおよび再エネ電力の導入加速が要因だという。

次年度は最終年度となるため、「住生活基本計画」の検討動向を踏まえながら、次の5年間に向けた「住生活向上推進プラン2030」を策定する予定だ。