New   2025.11.26

積水化学工業住宅カンパニー、富裕層向けのフラッグシップ商品を投入

デザイン、性能強化で高額帯への注力を加速

 

積水化学工業住宅カンパニーが、鉄骨戸建注文住宅の新たな旗艦モデル「ELVIA(エルビア)」の発売を開始した。デザイン、性能、住空間を進化させた富裕層向けの商品投入で、販売ターゲットを広げる。

強みとする工場生産ユニット住宅の合理性を追求しながら、技術を集約したハイエンドモデルをつくりあげた。鉄骨ユニットならではのシンプル・ダイナミックな機能美を表現した外観デザイン、初の断熱等級7の実現、新開発の全館空調システムの導入など「今できるものをすべて盛り込んだ」と吉田匡秀プレジデントは自信を込める。価格は35坪で約5000万円強の設定。富裕層を主なターゲットとし、2026年度に販売目標300棟を計画する。

今後の高額帯戦略について説明する吉田匡秀プレジデント

開発の背景には、住宅市場の変化がある。近年、人口減少や資材高騰などの影響で持家戸建の着工数は減少し続けている。大手住宅メーカー各社は戸建住宅の販売棟数が減る中、高付加価値・高価格化を進め、利益を確保している状況だ。2024年度の各メーカーの国内戸建住宅の平均販売単価は、大和ハウス工業、旭化成ホームズが5500万円、積水ハウスが5248万円、パナソニック ホームズが4841万円、住友林業が4670万円と続く。その中で積水化学工業は3700万円と他社とやや差があった。

和智正典マーケティング部長は「大手ハウスメーカーの建物価格は上がっているが、当社は遅れていた。都心部だけでなく、地方で一定比率の供給をしていること、主に一次取得層をターゲットとしてきたことなどにより中価格帯中心の戦略を取っていたことの影響がある。高額帯が今後の課題であるため取り組んだ」と今回の商品開発の理由を説明した。これまでの中価格帯の商品に、高価格帯を加え商品を拡充することで、顧客の幅を広げる狙いだ。

これに先行し、23年からは2階建て鉄骨系住宅「パルフェ」をベースにしながら、デザイナーがこだわりの空間設計をし、断熱等級6を標準化した商品「ザ・デザイナーズハイム」を投入した。以来、25年上期までの受注は累計約260棟と好調に推移してきた。従来の自社商品よりやや高額設定であるザ・デザイナーズハイムの販売に手応えがあったことで、「テストマーケティングのような形になった」(和智部長)と、今回の商品投入に至った。

エルビアモデル棟の外観

エルビアモデル棟の1階リビング

特徴の1つが外装および内装のデザインだ。外壁には、形状や生地配合を研究し従来品比約1・7倍の大判にしたした「ルミナタイル」を導入。施釉加工による色の深みと艶のある素材感を実現し、高級感と耐久性を高めた。また、雨樋を袖壁に内蔵するなど無駄をそぎ落としたノイズレスなデザインを意識した。内装では、普遍的な美しさを目指すインテリア思想「NewtralLuxe(ニュートラルリュクス)」を新たに設定。多様なニーズを受け止める4つのコーディネートスタイル「Mellow(メロウ)」「Jazzy(ジャジー)」「Grace(グレース)」「Vibrant(ビブラント)」をラインアップした。

新開発した外壁「ルミナタイル」

同社初の断熱等級7対応

性能面も大きく高めた。同社として、鉄骨2階建て住宅で初となる断熱等級7を実現した。屋根と外壁は従来の充填断熱に加え、外側に付加断熱を組み合わせ、さらに開口部の断熱性も強化した。断熱等級7の標準化も検討したが、プランの柔軟性を重視し、見送った。吉田プレジデントは「窓などに制限が出てくる。高額な商品であるのにできないことがあると受け入れられにくいのではと考えた」と説明し、今後断熱等級7の標準化に向けて開発を進めていくとした。

耐震性においても、従来のユニット構造体と基礎の接合強度をアップし、高性能外壁と組み合わせることで、建築基準法の耐震基準の2倍相当の強度を実現した。


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