New   2025.11.6

アンドパッド、建設業特化の求人・転職サービス開始

細かな条件対応で高精度マッチングに貢献

 

クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を運営するアンドパッドが、業界特化型求人・転職サービス「ビルダーワーク(Builder Work)」の提供を開始した。

独自のデータ分析もとに
企業の「ラブレター」改善

「ビルダーワーク」を担当するアンドパッドの葉山勝正執行役員

建設業界の業務効率化を支援してきたアンドパッドが、業界に特化した求人サービス「ビルダーワーク」を開始した。ビルダーワークの利用は無料で、求職者は公式サイトから登録し、求人情報を閲覧できる。企業側の、採用に関する相談料や求人掲載料も無料で、採用が決定した際に成果報酬が発生する。

建設業界経験者に対しては、主にインターネットを通じて求職者の自発的な登録を促す「プル型」を重視。未経験者に対しては、積極的に業界参入を後押しする。同社が事業を通じて培ってきた建設業界への深い知見と開発力、情報を活かし、企業と求職者双方のミスマッチのない高精度な人材マッチングに貢献する狙いだ。

背景には、業界の深刻な課題である人手不足がある。同社独自の企業アンケートでは、その多くが一番の課題として人手不足を挙げ、採用に注力しているにもかかわらず、うまく採用に結びつかないという結果が出ている。今回の求人サービスを立ち上げた葉山勝正執行役員は、昨年複数の建設会社に対して採用のアドバイザリーを行い、各社の採用強化を成功させた。例えば東北地方のリフォーム会社は、3年間で中途人材を1人しか採用できていなかったが、アドバイスにより求人票の書き方などを工夫した結果、1年間で12人の採用につながったという。

葉山執行役員は「企業の求人票は、いわば求職者へのラブレター。だが、多くの会社はそのラブレターをうまく書くことができない」と指摘する。

求人票では、自社の秀でている点をPRする必要があるが、そもそも給与や求人が他社と比べてどの程度なのかを分析しなくてはならない。前述のリフォーム会社の事例では、エリアの求人情報を分析した結果、給与や福利厚生、休日数など他社と比べて優れているところがなかった。しかし、地場ならではの、若手でも早期に店長に就任できる、経営陣との距離が近くアイディアが全社に展開されるなどの影響力を感じられる、といった条件をPRした結果、大量の採用につながった。

葉山執行役員は「こうした採用ノウハウが求められている実感があり、ビルダーワークを立ち上げようと思った。企業の採用だけでなく、定着・活躍までを見据えたマッチングを支援するのはもちろん、業界未経験者にどう建設業界に入ってきてもらうかが重要なテーマ。この業界にとって大きな人手不足課題を解決し、我々のミッションである『幸せを築く人を、幸せに。』の実現を目指していきたい」と意義を語った。

AIエージェント開発へ
求人情報の分析、調査も

「ビルダーワーク」のメインページ

サービスの大きな特徴は、職種や職位別など細かな条件でのマッチングができる点だ。大手求人サイトでも建設業の求人の数は多くあるが、そのほとんどが大まかな職種別でのみ分けられている。ビルダーワークの場合、施工管理だけでも、建築、管工事、電気工事、土木、プラントと分類している。「例えば、従来の求人サイトで“施工管理”のワードだけでマッチングすると、本来は電気工事施工管理者を募集しているのに建築施工管理経験者が来てしまうなど、ミスマッチが起こってしまう。我々は経験者の場合、職種を細かく分けるだけでなく、対象物の規模、職位などを登録し、企業とマッチングする。業界に特化し、さらにここまで細かく設定したものはなかったのでは」(葉山執行役員)。直近でも、埼玉県の企業に2人を推薦したところ、2人がそのまま採用に至った。ミスマッチのない精度の高さが、スムーズな採用につながっている。

9月中旬からサービスを開始し、10月上旬の時点で約1万2000件の求人を掲載している。「求人掲載を希望する企業からは多くの連絡がきており、待ってもらっている状態。利用者も順調に増えており、面談希望者は数百人ほどいる」(葉山執行役員)と求人、求職者ともに順調に増加している。

現在は、建設業界経験者かつDXに通じたアンドパッドの担当者が、企業に対しては適切な求人票の作成、求職者に対しては職務経歴書、履歴書、自己PRなどの作成を指導・支援している。将来的には、これらのノウハウをAIエージェント化し、企業側と求職者側両者に提供できるよう取り組んでいく。また、ビルダーワークの業務を通じて蓄積するデータを独自に分析し、調査結果を公開することも予定する。

「ビルダーワーク」のサービスイメージ

求人10万件目標
未経験者参入も促進

さらにサービスを充実させるため、求人数の増加に努め、未経験者参入を促進する施策も積極的に行っていくという。葉山執行役員は「早期に求人数10万件を達成したい。建設業に興味のある方がビルダーワークに登録すれば自身に合う仕事が見つかる状態、企業が本当に求めている人材を採用しやすい状態を実現していきたい」と目標を語った。