一建設が木製筋交い耐力壁で国内初、壁倍率5.0の大臣認定を取得
面材不要で配線・配管など設計の自由度を向上
一建設が木製筋交い耐力壁としては国内で初めて壁倍率5.0の大臣認定を取得した自社開発品「HW5.0Σ(エイチダブリュー5.0シグマ)」を公開した。
一般的に筋交いは、耐力を安定させるために構造用面材との併用を必要とするケースが多い。しかし、HW5.0Σは筋交い単体で建築基準法改正前の上限である壁倍率5.0の認定を取得。筋交いのみでの使用が可能で、筋交いを現しにしたデザインや、小開口・壁内収納スペースを設ける自由な設計ができる。また、構造用面材に配線・配管の穴をあけると耐力が低下するため、開けられる穴の大きさに制約があったが、HW5.0Σであればこうした制約がなく、コンセントボックスや通排気口などを同一の壁面にまとめて設置できる。
HW5.0Σのポイントは、LVL材で構成された添え間柱に損傷を集中させる設計で、主要構造部である柱や筋交いへの損傷を防ぐ。接合金物の固定には径8㎜のビスを計8本使用し、そのうち90㎜を2本、45㎜を6本と長さを変えている。短いビスは一定の荷重がかかると抜けるよう設計されており、初期段階では高い剛性を確保しつつ、大きな荷重が加わった際にはビスが抜けて剛性を調整し、筋交いの変形を防ぐ仕組みとなっている。
一般的な壁倍率2.0の筋交いは、被災時に変形を留める限界ラインである「安全限界」を超えると、耐力が急激に低下するが、HW5.0Σは安全限界を超えても耐力低下を約15分の1に抑えることができ、地震時の安全性を高める。
また、認定時は法改正前で壁倍率の上限が5.0だったが、構造計算(許容応力度計算)においては壁倍率5.84または6.38相当の短期許容せん断耐力で運用できる。これまで壁倍率6.5相当を確保するには、壁倍率4.0の構造用面材壁に、2.5倍の壁倍率を持つ耐力面材を貼り合わせる必要があった。それを筋交い耐力壁のみで実現できるため、省力化にもつながる。
住宅業界では、環境性能や耐震性能の要求水準が高まる一方で、性能と設計自由度、コストのバランスをどう両立するかが課題となっている。また、技術者不足や働き方改革による労働時間制限など、生産体制の見直しも求められている。こうしたなか、同社では「生産能力の向上を目的としたプロジェクトを立ち上げ、技術開発などによる課題解決に取り組んでいる」(上原正和 取締役 生産管理本部本部長)。これまでに構造用面材を用いた外周用耐力壁「HW5.0」で大臣認定を取得、実装してきた。今回のHW5.0Σはその延長として建物内部の耐力を高める商品として開発した。筋交いを強化し、金属ブレースよりもコストを抑えながら高い耐震性能を確保できる新たな内壁用耐力壁として提案する。
実用化の第一物件として、東京都板橋区で建設中の3階建て分譲戸建住宅の1階および2階部分に採用。来年度からの本格導入に向けて、HW5.0Σの効果的な活用方法を検討している。さらに、建築基準法改正後の壁倍率上限引き上げに対応した大臣認定の変更・追加も予定。将来的には一般流通を視野に入れる。
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