New   2025.11.14

地盤ネット、3D点群データを活用した測量支援サービス開始

測量の工期短縮とコストの安定化に貢献

 

地盤ネットが3D点群データを活用した現況測量/図面作成支援ソリューション「SCAN Navi(スキャンナビ)」をリリースした。従来の測量プロセスの効率化を図り、人手不足やコスト削減などの課題解決につなげる。

同社は2008年創業で、地盤調査・分析事業、BIM事業、測量事業などを展開する。今回発表した新サービス「SCAN Navi」は、3D点群データを活用した測量システム。対象を点群でとらえる特殊な撮影機器「4DKankan Meta」を使用することにより、高精度な現況データを得ることができる。建物設計のみならず建物配置、高低差、敷地条件などの正確な情報を得られ、現地調査や再調査の手間を省略できる。従来の測量業務時間を約5分の1に短縮するなど効率化も図る。

従来の測量業務では、専門的な知見を持った技術者が二人一組で現地調査を行い、そのデータをもとに測量図の作成を行う。ただ建設業界の慢性的な人手不足、技能労働者の高齢化の中で高度な技術を要する測量技術者の育成、確保が課題となってきている。また、平面図に依存する従来のプロセスでは、部門ごとに必要な情報がバラバラになり、手戻りや作業効率の低下を招いており、これが建築コスト高騰の一因ともなっている。こうした課題を解決するためにSCAN Naviを開発した。

撮影機器の「4DKankan Meta」

大きな特徴は、対象物すべてを座標軸と色情報を持った「点群データ」として取得することにある。無数の点の集合によるデジタルデータとして測量することにより、設計者だけでなく、営業や現場監督など、全ての関係者が同じデータにアクセスし、必要な情報を自由に抽出できる。また、その3DデータはURL一つで共有できるため、オフィスや遠隔地からでも現場の状況を詳細に確認できる。再調査の必要がなく、移動コストや手戻りの大幅削減も期待できる。

また、操作の簡単さもポイントだ。現場をスマホで撮影するだけで、誤差数ミリの高精度な3Dデータが完成し、これまで半日かかっていた測量と図面作成が、わずか数時間に短縮される。専門知識や特別なスキルも不要であるため、これまで数年を要していた専門技術者の育成を大幅に短縮し、工期短縮とコストの安定化に貢献する。

会見に出席した左から地盤ネットの石井大樹社長、地盤ネットの荒川高広会長、(一社)全国住宅産業協会 川崎勝幸専務理事

古い建造物の図面化も

京都の町屋など古い建造物では、図面が残っていない例が多々ある。そうした建物を改修する場合、現地で何日もかけて計測する必要があるが、SCAN Naviを使い建物を点群データで捉え、BIMと共有することにより、図面化が可能となる。荒川高広会長は「測らなくても点群データさえ取れば図面化できるというのは、次世代の測量の形。戸建住宅に限らず、橋などの大きな建造物などあらゆる建物の補修計画に生きてくるだろう」と話した。

サービスのメインターゲットとなるのは、「注文住宅に注力する住宅会社」と石井大樹社長。「現在年間3万棟弱の地盤調査をしているが、2、3年後にはSCAN Naviも同じぐらいの数で展開していきたい」と目標を語った。