20年一気通貫型のかし保険をリリース 長期保証は「かし保険バックアップ型」の新時代に

住宅保証機構

 

全国の住宅事業者からの強い要望を受け、住宅保証機構が新たに「20年一気通貫型かし保険」をリリースした。

住宅保証機構がリリースした「20年一気通貫型かし保険」は、その名のとおり新築時に20年分の保険加入手続きが完了することが最大の特徴である。こうしたタイプのかし保険としては業界初の認可となる。

新築住宅市場が厳しさを増す中、住宅事業者の間では、新築後10年以降も見据えて顧客からのメンテナンス・リフォーム工事の需要に対応するため、またアフターサービス面での差別化を進めるため、より長期の保証を顧客に提供していく動きが急激に広がっている。一方で、従来のかし保険は、新築後20年間のリスクを保険でカバーしようとした場合、新築後10年経過してから延長保険に加入する手続きを改めて行う必要があった。このため、「新築時から20年分をまとめて加入できるかし保険を」との要望が住宅事業者から強く寄せられていた。

今回リリースされた「20年一気通貫型かし保険」は住宅事業者が使いやすい工夫が何点か施されている。

「まもりすまい 新築 20年一気通貫型保険」のイメージ

第三者検査や必須メンテ工事不要の「高耐久コース」が人気

主力商品となる「高耐久コース」については、新築時に加入手続きをすれば、20年間、第三者検査や必須メンテナンス工事が不要であることが大きな特徴だ。「高耐久コース」は、同社の指定する部位に比較的耐久性の高い建材を利用することが要件となる。こうした建材を利用しない場合は「一般コース」となり、第三者検査は必要ないが必須メンテナンス工事が必要となる。

長谷川貴彦社長の政策動向解説を「まもりすチャンネル」で月に1回配信中(URL:https://youtu.be/E1_CAxDag-0)
「まもりすまい新築20年一気通貫型保険」の事業者登録証

「20年一気通貫型かし保険」はリリース前より全国100社程度から「採用をぜひ検討したい」との声が寄せられていたが、大部分が「高耐久コース」の利用を前提としている。その理由の一つが、「長期保証適合住宅証明書」の発行である。高耐久コースを利用するには、その住宅が高い耐久性を持つことを同社が証明する証明書を個別に発行する。これが顧客への大きなアピールになると考えられている。

新築後20年目以降についても顧客に保険延長のオプションを提示できる点も大きな魅力だ。顧客から、〝新築後20年目以降はどうなるのか〟と聞かれた場合も、「20年一気通貫型かし保険」の利用後に、延長保険の活用で保険の延伸が可能となっている。特に同社の延長保険は〝エンドレス型〟なので、20年➡30年➡40年➡…と保険期間を伸ばしていくことが可能。こうした柔軟なオプションを顧客に提示・説明できることも大きな魅力となっている。また、延長保険の加入手続きも、第三者検査不要、自主検査も既存住宅状況調査技術者以外でもOK、と非常に利用しやすいスキームになっているのが特徴である。

もう一つの大きな特徴が、住宅瑕疵担保履行法に基づく契約者保護のスキームがあること。同法では、仮にかし保険法人が倒産しそうになった場合、契約を他のかし保険法人に移管するよう国土交通省が命令を出し、契約が保護される枠組みが明文化されており、過去にも1件適用事例がある。同社の長谷川貴彦社長は「当社は設立以来、順調に黒字経営を継続してきているが、20年間という長期タームの話なので、契約者保護のスキームがあるかし保険法人の利用はお客様にも説明しやすいとの声を多くいただいています」と話す。

かし保険法人による「20年一気通貫型かし保険」は、住宅事業者サイドでは〝20年間にわたり顧客に保証を行うことのリスクヘッジ〟以上の役割・機能が期待されているようだ。大手事業者が実施している60年の超長期保証は、自社が存続することが大前提だ。これに対して、かし保険バックアップ型の長期保証は、住宅事業者や保険サービスを提供する法人の状況によらず、確実に、顧客が必要とする保証が担保される枠組みとなっている。

こうしたあらゆるリスクに誠実に向き合い、リスクに敏感な顧客にも胸を張って説明できる「かし保険バックアップ型保証」。〝単なる自社保証〟ではなく〝かし保険バックアップ型〟です、とアフターサービスの差別化の切り札とする事業者が増えていきそうだ。

長谷川社長は「思った以上の反響の数で驚いている。11年目以降も顧客満足度97%の評価をいただいている当社の保険事故対応チームを活用できるのが安心だとの有難い声もいただいている。ご関心のある住宅事業者様は、利用条件や保険料の確認に、まずは当社にご一報を頂ければ有難いです。全面採用だけではなく、従来の10年保険と使い分けられる事業者様もいらっしゃるようです。今回のリリースは、当社的には第1バージョンと考えており、すぐにお客様の声を伺いながらバージョンアップを進めていく方針」と話す。

設備保証も20年へ セット提案で差別化

また、住宅保証機構は、「20年一気通貫型かし保険」のリリースとあわせ、「住宅設備機器延長保証サービス(20年一気通貫型)」の取扱いを開始した。Warranty technologyと提携して提供する商品で、保証期間をこれまでの10年から一気に20年に延長する。今回、住宅保証機構がリリースした2つの20年一気通貫型商品を利用することで、新築時に、建物と設備のセットで20年保証を打ち出すことができるようになり、アフターサービスを重視する住宅事業者にとって大きな差別化戦略となることが期待される。

住宅市場が新築からストックへと軸足を移すなか、さらなる安心を提供する長期保証へのニーズが高まる。前身である財団法人から40年以上にわたり住宅の保証や保険に携わってきた住宅保証機構が打ち出した20年一気通貫型のかし保険は、新たな流れとなりそうだ。

住宅保証機構
TEL:03-6435-8870
https://www.mamoris.jp