New   2025.8.4

アイジー工業、サイディングは前年度比3%増、ルーフは同17%増

新商品、新技術で純利益16.5億円を目指す

 

7月3日にメディア発表会を開き、2025年の新商品と事業方針を発表。
翌4日には東京で「アイジーフェア」を開催し、新製品や表彰を受けた加工技術をアピールした。

24年度の売上高は前年度比4%減の290億円。商品別に見ると、サイディングは、全国各地で実施したミニ展示会の「アイジー体感フェア」で金属サイディングが普及していない地域で認知度を拡大できたことが奏功し、同3%の増加となった。ルーフは、屋根の改修時期を迎えた住宅が増えていることもあり、カバー工法による同社製品の採用が増えており、同17%増と当初の計画比を上回る伸びとなった。一方、工場などの大型施設向け商品であるヴァンドは、職人不足による工期遅れや工事の縮小が相次いでおり、前年比30%減となった。

こうした状況下で、25年は新色含め4つの新商品を発売した。3月より本格的に販売を開始した「SP-ガルスクエア」は、昨年から提案活動を行い、約1年間のランニング期間を経て登場。ガレージハウスでの暮らしを楽しむ層に向けて無骨なデザインで訴求する。また、7月に発売した「SP-ヘアリナ」は、ステンレスやアルミに用いられるヘアライン仕上げをサイディングの表面にエンボス加工で実現した。シャンパンゴールドなどのメタリックカラーを採用し、角度によって繊細な柄が浮き出て見えることが特徴だ。価格は2万5460円/坪と、住宅に採用しやすいようできる限り価格を抑えた。これら新商品などをフックに、24年度に達成できなかった純利益16.5億円へ再挑戦する。

札幌と東京でアイジーフェアを開催
表彰を受けた技術の展示も

「SP-ヘアリナ」は7月1日より販売開始。ステンレスやアルミなどに用いられるヘアライン仕上げを施した繊細な表情が魅力。

同社は6月3日に札幌、7月4日に東京でアイジーフェアを行った。新商品を中心に、他素材との組み合わせなどライフスタイルをイメージできるような空間展示を行った。

また、アイジーフェアでは、技術力もアピールした。令和7年度全国発明表彰(主催:(公財)発明協会)において、同社社員の荒木和彦氏が日本商工会議所会頭賞を受賞。同氏の開発した「歪み抑制をするエンボスの加工」の技術が高く評価された。鋼板は加工により硬度が増す一方で、化粧面と連結部の縮み差により歪みが生じる課題がある。この歪みを抑えるため、一般的に、連結部には「歪み抑制エンボス加工」を施す。今回の発明では従来のさざ波状加工に代えて、四角形のエンボス加工を施し凹凸群を形成、さらにこの凹凸群の間には、あえて加工を施さない成形間隙を設けた。これにより、連結部のしなやかさが向上し、従来よりも省エネルギーで多様な柄の金属外壁材を製造できるようになった。フェアでは、実際に歪み抑制のエンボス加工をした商品と説明パネルを展示するなど、技術力もアピールした。

日本商工会議所会頭賞
受賞にあたって

森 安弘
代表取締役社長

(公財)発明協会は総裁を常陸宮殿下が務められており、発明賞は全国でたった3つの皇室から御下賜金をいただける賞。開発者の荒木に発明協会会長賞が、社長である私には、実施功労賞が贈られた。7月初旬にホテルオークラで開かれた表彰式の際は、常陸宮殿下の奥方である華子妃がご臨席されており、別室で直々に華子妃からお言葉をいただいた。このような貴重な賞を受けることができたのは非常に名誉であり、大変喜ばしく感じている。