カチタス、27年度までの新中期経営計画をスタート
年間販売数1万件、営業利益200億円へ
戸建住宅の買取再販事業で業界ナンバー1を独走するカチタスは、新中期経営計画を発表した。
スローガンは「成長ポテンシャルの拡大と加速」。
年間販売件数1万件、営業利益200億円の目標達成に向け、成長スピードを加速させる。
カチタスの2025年3月期決算(24年4月〜25年3月)は、営業利益が前年比12.2%増の142億円と過去最高を記録した。
売上高は1295億円(同2.2%増)と微増にとどまったが、粗利率は前年の21.9%から23.7%へと改善し、利益面は大幅に伸長。最重要KPIである営業利益は計画値(140億円)を上回る達成となった。
主な増益要因として、低価格帯住宅への需要増に対応した高回転・高粗利の商品構成や、在庫の値上げ(24年4月・10月、25年4月に各50万円実施)、営業社員の生産性向上などが挙げられる。成長投資として3.5億円規模の決算賞与(昨年度は1.9億円)を支給した上で、営業利益の増益を確保した点も特筆すべき点だ。
仕入件数は同18.8%増の8323件と大幅に伸長。在庫不足が課題となった期初から一転、期末時点では十分な在庫を確保した。商品化体制の強化が奏功し、販売件数も7372件(同2.8%増)に増加。カチタス単体の営業利益は前年比9.8%増、リプライス単体の営業利益は同25.2%増となった。
ターゲット層に合わせて
1500万円台を維持

同社が買取再販の対象とするのは、主に築30〜40年の中古住宅で、そのうち約7割は空き家だ。築年数が古いだけに、同社の社員、シロアリ駆除業者、工務店の3者が立ち合い、床下などの躯体まで含めて、物件の劣化状況を徹底的に調査することで、再生住宅として活用できるかを見極める確度を高めている。
累計8万戸超の買取・販売実績から、仕入れ時の確認ミスに起因することが多い「失敗事例」を蓄積、発生した失敗事例は、毎週開催のTV朝会を通じて全国の店舗に共有することでタイムリーなリスクマネジメントを実施している。また、工務店、仲介業者などの外部リソースを組織化して活用することで、効率的な仕入れ・施工を実施している。
基本的に人口5万〜30万人規模の地方都市に営業エリアを絞り、それぞれの都市の中心部周辺は、もう一つの戸建買取再販のブランドであるリプライスの営業範囲、カチタスはその外のエリアを営業範囲にして、仕入れ、販売を強化している。25年3月期の販売件数・販売価格(税抜)は、カチタスが5597件・1577万円(戸建比率93.8%)、リプライスが1755件・2243万円(戸建比率73.5%)、平均価格は1631万円(税込)であった。
購入者のターゲット層は、年収200万円~500万円、30歳代~50歳代の一次取得者ファミリーで、住宅価格年収倍率は4.3倍となっている。アパートなどの毎月の家賃、約3万円~約7万円と同じ金額で住宅ローンを組むことができるということを価格設定のコンセプトの一つとしている。
藤島健太郎 執行役員 商品企画部長は、「ターゲット層の住宅ローン返済能力を考慮し、カチタスについては、1500万円台に抑えられる資材調達を継続していく使命感を持っている。価格を上げるとターゲット層が離れてしまうため調整が難しい。コロナ後には価格が上がったものの、現在は落ち着いており、価格を上げられない状況」と説明する。
一方で、近年は、性能向上リフォームも強化し始めている。「住宅購入が最優先であり、その後の段階として断熱性能を検討する顧客が多い」(藤島商品開発部長)。
耐震改修については、旧耐震の物件に対しては原則として耐震診断と補強を行っている。
断熱改修を実施するのは全体の数%だが、断熱だけでなく防犯や防音を目的に、LDKや寝室など居住空間を中心に、内窓を設置して、部分断熱を行う事例が出てきている。
未出店地域や新規顧客層へアプローチ
供給能力拡大、販路拡充
同社は、「第4次中期経営計画(2025〜2027年度)」をスタートした。スローガンは「成長ポテンシャルの拡大と加速」。目標は年間販売件数1万件、営業利益200億円(CAGR12%)、ROE20%以上などを掲げている。
同社の強みは、前述したとおり「空き家」、「地方」、「中低所得者向け」にフォーカスしたビジネスモデル。第4次中計では、これらの強みをさらに強化しつつ、未出店地域や新規顧客層へのアプローチによって、供給能力の拡大と販路の拡充を図る。
重点戦略の第一は、「営業人員の増加と育成の強化」。新卒採用を中心に人材の量的拡大を進め、組織力向上を支援する「組織戦略推進室」を新設。特に小型店舗の展開により、高収益が見込まれる小規模地域にもアプローチを拡大する。
第二に「生産性の向上」。営業社員の限界工数を超えない範囲で、高回転物件のみを扱う「戦略在庫枠」を設定。営業1人あたりの件数を確保しながら、粗利額の最大化を狙う。
第三に「リフォーム企画の多様化」。世帯の小規模化・多様化する住まい方の変化などに対し、リフォームプランの幅を拡充する。工務店の新規発掘によるネットワークの拡大も図り、施工能力の底上げを目指す。
さらに、仕入れチャネルの多様化(仲介業者チャネルを維持しつつ、それ以外のルートや自治体連携)を図る。また、複数の企業を対象にM&Aによる事業補強を検討中で、M&A資金は負債調達を予定する。リプライス事業の業績安定化といった複線的な施策も進めている。
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