住友林業、木造混構造6階建ての社宅完成
独自開発の構法・部材を採用、木造マンションのモデルに
住友林業が、木造とRC混構造6階建ての社宅を完成させた。自社独自技術を多数採用した木造混構造の中大規模集合住宅モデルケースとしてアピールする。
住友林業が「木化×緑化」をコンセプトに設計した社宅「みどりのの庭」を完成させた。地上6階建てのRC造、木造の混構造で、1階はオフィスと店舗、2階から6階は自社社員の社宅となっている。
同社は2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING2030」を掲げ、木造建築普及により脱炭素社会に貢献することを目指している。この取り組みの一つとして、木造化率の高い混構造の中大規模建物をつくりあげた。建物全体で322㎥の木材を使用し、軒天や仕上げ材の一部には国産材を用いた。富裕層向けの国内木造賃貸マンション市場への参画を見据え、モデルケースとする狙いもある。設計を担当した建設事業部建築部意匠設計第2グループ浦山真吾グループマネージャーは「様々な技術を取り込み、実証実験を行った」と話す。

耐震性、コスト、施工工期などを踏まえてRC造と木造の混構造とした。約20mの高さの6階建てで、「木造だけでは(震災時の)横揺れを受けきれない」(浦山氏)と判断。建物中央部をRC造、両サイドを木造とし、水平力を中央のRC造部分に集中させる構造とした。これにより木造部分への負担を減らし、木造の柱や梁のスリム化とコスト削減にもつなげた。
混構造用に開発した構法・部材と同社オリジナルの耐火構造部材を採用し、設計・施工の合理化で建設コストや工期短縮を実現した。中大規模建築を木造化する場合、木材は振動が伝わりやすく居住性に影響があり、強度を担保するために断面を大きくする必要があるなどの課題がある。こうした課題を解決するため、日建設計と共同で2016年にプロジェクトチームを立ち上げ、実験・検証を実施。木質梁にのこぎりのような凹凸をつけRC床版とつなげる「合成梁構法」を22年に完成させた。同物件は、その構法を初採用した実例となる。
また、木造部分の躯体には独自の木質耐火部材「木ぐるみCT(2時間耐火)」を初採用した。「木ぐるみCT」は、構造材の柱や梁の周囲に不燃材を貼り付け、その外側にCLTなどの木材を浮かせて留める構成となっている。耐火被覆材に一般流通品であるCLTや不燃材などを使用するため、コストを抑えることができ、14階までの建物で使用が可能だ。耐火基準を満たしながら、木材を現しとできるため、木の居住空間を実現できる。
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