存在感増すエコキュート
GX志向型、新ZEHなどが追い風に
住宅の省エネ化、補助事業などを強い追い風にエコキュートが存在感を高めつつある。
GX志向型住宅や新ZEHではこれまで以上の一次エネルギー消費量削減が求められ、太陽光発電の広がりは昼間沸き上げやDRなどの流れにつながっている。
累計出荷台数が1000万台を突破するなか、エコキュートの普及拡大は次のステージを迎えている。
24年度の出荷は7.7%増
右肩上がりの拡大が続く
今年4月、(一社)日本冷凍空調工業会、(一財)ヒートポンプ・蓄熱センター、電気事業連合会が、3月末現在でエコキュート(家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯器)の累計出荷台数が1000万台を突破したと公表した。

エコキュートは2001年に発売、省エネルギー性が高いこと、家庭用ガス燃焼式給湯器と比べてCO2排出量が6割程度といった魅力、さらにオール電化の動きもあって普及してきた。
(一社)日本冷凍空調工業会によると、24年度の家庭用ヒートポンプ給湯器の出荷台数は、66万4486台、前年度比77%増となった。近年の推移をみると、16年度の同4.1%増から7年連続の増加が続き、22年度には70万4404台(同15.9%増)と大きく増加、過去最高の出荷台数となった。翌23年度は同12.4%減と一転して減少したものの、右肩上がりの傾向が続いていると言っていいだろう。
エコキュートのメーカー各社は、その販売台数こそ公表していないものの、パナソニック 空質空調社は「業界成長率と同等以上のレベルで推移」(A2W&水S事業部 WSSBU電化マーケティング統括部 給湯企画推進部 販売企画課・渡邊栄二課長)、ダイキン工業は「近年は業界同等以上ないし業界並みに推移」(空調営業本部事業戦略室 企画担当課長・藤田朋仁氏)、コロナは「10%以上の伸び」(総合企画部副部長 兼 事業企画室長・青木亮氏)と好調だ。
住宅省エネ化が強く後押し
一次エネ削減の流れも追い風に
近年の好調の強い追い風となっているのがカーボンニュートラルの流れだ。国を挙げて脱炭素化が進められるなか住宅の省エネ化が強く進められ、一次エネルギー消費量の削減が求められている。
省エネ基準への適合義務、トップランナー制度など規制強化の一方で、補助など支援制度を通じての誘導が進められている。脱炭素化を目的とする代表的な支援制度が「住宅省エネ2025キャンペーン」。経済産業省、環境省、国土交通省の3省が連携し、手厚い補助が展開されている。給湯器については「子育てグリーン住宅支援事業」のリフォームにおいて高効率給湯器(エコキュート、エコジョーズ、エコフィール、ハイブリッド給湯器)を対象に3万円/戸が、「給湯省エネ2025事業」でエコキュート6万円/台、ハイブリッド給湯器8万円/台、エネファーム16万円/台の補助が用意されている。また、賃貸集合住宅の取替えを対象とする「賃貸集合給湯省エネ2025事業」も実施されているがエコキュートは対象外だ。

これらが給湯器の高効率化促進に果たす役割は大きなものがある。前年度に行われた「給湯省エネ2024事業」では、交付申請件数41万7104件、同戸数41万7787戸に達し、予算に対する補助申請額の割合も97%と積極的に活用された。特に24年度の給湯省エネ事業は、補助金額が前年度から大幅にアップされたことを受けて交付申請受付開始前からメーカーに注文が入っており、受付開始から一斉に活用が進んだ。
一方、今年度の給湯省エネ事業ではエコキュートに対する補助の基本額が下がったことに加え、補助金のインパクトが薄れてきていることを指摘する声もある。それでも補助金効果は大きく、「リフォームチャネルの開拓を引き続き強化、前年度比で105%程度の伸びを目指す」(コロナ 営業本部住設営業部長・真島崇氏)、「既築については、補助金を生かしさらなる買換え需要向けを拡大していきたい。GX志向型住宅やZEH住宅の推進も追い風に24年度と同等か微増を見込む」(パナソニック 空質空調社)と期待は大きい。
取替え需要先細りの可能性も
熱源転換が市場拡大の鍵に
今後、エコキュートの更なる拡大を考える時、いくつかのテーマが上がる。その一つがガス給湯器からの熱源転換だ。
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