2025.6.11

三協立山・三協アルミ社 ペアガラス、付加断熱なしで等級6実現のアルミ樹脂複合窓

4年後までに50万窓の販売を目標に

 

三協立山 三協アルミ社が25年8月発売予定のアルミ樹脂複合サッシを発表した。
業界トップクラスのスリムフレームながら断熱等級6を達成できるほどのスペックを持つ。

三協立山 三協アルミ社が10年ぶりのサッシ新商品として発売する高断熱スリム窓「STINA(エスティナ)」は、これまでのハイスペックサッシを継承した機能性とレジリエンス性を兼ね備えたアルミ樹脂複合サッシ。従来の基幹サッシ「MADiO(マディオ)」と「ALGEO(アルジオ)」の2シリーズを集約した商品で、住宅分野への再挑戦として、期待の込められた旗艦商品だ。そのポイントは大きく三つある。

三協立山の高断熱スリム窓「STINA」

一つ目のポイントは、アルミ樹脂複合でありながら、これまでにない高さの断熱性能を実現したこと。熱伝導を抑制するブリッジを長く設計したほか、引違い窓では煙返しと呼ばれる召合せかまちの噛み合い部を樹脂に変更した。これらの工夫により、従来品から断熱性能を飛躍的に向上。ガス入りLow-E複層ガラス、たてすべり出しFIX窓で1.41W/(㎡・k)を達成した。これは断熱等性能等級の等級6(地域区分5~7)を、充填断熱工法で目指せるレベルで、ペアガラスの窓では業界ナンバー1となる。さらに防火仕様では、1.43W/(㎡・k)の熱貫流率で、樹脂サッシを凌ぐ断熱性能だという。

STINAを使う場合の等級6の仕様例(5・6・7地域)

日本の大半を占める5・6・7地域では充填断熱工法で住宅を建てることが一般的だ。しかし、これまで充填断熱で等級6を達成するためには、基本的にトリプルガラスの採用がスタンダードであった。

エスティナは、これまでの充填断熱工法を変えずに、施工負担が少なく、コスト面で採用をしやすいペアガラスで等級6を目指せる。そのため、住宅事業者の高断熱住宅へ取り組むハードルが大きく下がることになりそうだ。

二つ目のポイントは、フレームのスリム化。隠し框の採用や下枠戸車の小径化などを行うことで業界トップクラスのスリムフレームを実現した。例えばテラスタイプでは、召合わせ部が38㎜、突合せ部が48㎜で、それぞれ従来品の3分の2以下、3分の1以下となる。高さは最大2730㎜まで対応し、開放感のある室内空間を演出する。

また、たてすべり出し窓では開閉のためのハンドルをコンパクト化。スマートな見た目だけでなく、ロールスクリーンなどを取り付けるときに窓のハンドルが干渉しないため、スクリーンの設置がしやすくなった。

さらに、窓種ごとにバラバラだった外形寸法を統一することで、引違い窓と装飾窓などの異なる窓種を並べた際に水平ラインが整うようになった。

そのほか、フラットレールを標準仕様とし、手入れのしやすさにも配慮した。レールの溝を埋めるカバーが室内への熱の伝わりを軽減するため、断熱性能の向上にもつながった。

三つ目のポイントは、従来品「アルジオ」の耐風圧性能、水密性能を引き継いだ高いレジリエンス力。耐風圧性能は、最大瞬間風速57m/sに耐えられるS‒4を実現。召合わせ部のアルミに厚みを持たせ、見込み寸法を大きくすることで強度を向上した。水密性能は、下枠の見付け寸法を大きく取り最適な排水経路を設け、二カ所にタイト材を設置することでW‒5を達成している。

市場の中では比較的高めの価格設定となる予定だが、「ペアガラスと充填断熱で等級6を達成できるコストメリットや、アルミ樹脂複合だから実現できるデザイン性、防災性能といった付加価値で総合的に競争力はある」(奥谷和正 住宅事業部長・執行役員)とみる。


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