住宅あんしん保証、「あんサポ(あんしんサポート会)」で非住宅建築物に取り組む事業者を支援
審査業務、完成保証などを拡充
非住宅建築物に取り組む事業者のネットワーク「あんしんサポート会/非住宅建築物」(通称:あんサポ)」を立ち上げた。
従来からの建物検査・瑕疵保証制度に加え、審査業務、完成保証などのメニューを拡充し、非住宅建築物に取り組む事業者を強力にバックアップする。
同社は2021年11月に業界初の非住宅向けの検査・保証サービス「あんしん建物検査・保証制度」の販売を開始した。住宅では、00年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」において、住宅取得者の保護を明確にするため、新築住宅の構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分に瑕疵があった場合、事業者が10年間無償で補修等を行うことを義務付けた。しかし、瑕疵があった場合の補修などには事業者の資力の有無が重要になることから09年に施行された「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」において、事業者に瑕疵担保責任を確実に履行するための資力の確保を義務付けている。同法では、保証金の供託、瑕疵保険の加入のいずれかによって資力確保を求めており、瑕疵保険では、契約者である事業者が瑕疵担保責任を履行した際の補修費や調査費などが保険金として支払われる仕組みとなっている。
しかし、非住宅では、同じ建物であるにもかかわらず、このような仕組みがなかった。同社では、工務店などから非住宅においても、住宅同様、検査や瑕疵保険の提供を求める声に対応して、「あんしん建物検査・保証制度」を開発し販売を始めた。
検査員が工程に応じて3回(基礎配筋、上部躯体、防水)の現場検査を実施する。瑕疵保険には、防水検査は必須とされないが、非住宅向けでは防水検査も必須とした。加入するためには3回の検査にすべて合格する必要がある。
非住宅の分野では、発注者が入札などで施工者を選定し、初めて取引する場合において、コストだけでなく会社の規模、施工実績などが考慮される。その際、施工者側で、この「あんしん建物検査・保証制度」を利用し、第三者のチェックを入れて検査・保証を付けることで、発注者からの信頼を勝ち取る一つのきっかけとなり、第2、第3の受注につながるケースも出てきているという。
この検査・保証サービスは右肩上がりに成長している。住宅市場が縮小する中で、非住宅分野への注目が高まっており、今回新たに立ち上げた「あんサポ」では、あんしん建物検査・保証制度に加え、審査業務や完成保証など、新メニューを拡充し、利用する事業者の利便性向上を図る方針だ。

木造建築物の第三者評価
取り扱いを開始
新たに開始した審査業務では、非住宅建築物のBELSや省エネ適合判定に加え、木造建築物の耐久性評価も行う。
特に注目したいのは、同社が新たに木造建築物の耐久性に関わる第三者評価の取り扱いを開始したことだ。この第三者評価は、国が24年12月に「木造建築物の耐久性に係る評価のためのガイドライン」を作成し、評価機関を募集して4月1日から始まったばかり。4月時点で14機関が登録、住宅あんしん保証もそのうちの1機関で、すでに審査業務の受付を開始している。
木造建築の耐久性の評価については、住宅用途については住宅性能表示制度を活用することが可能だが、非住宅分野では明確な評価基準が存在していない。その結果、金融機関から融資を受ける場合、木造建築物の法定耐用年数が鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べ短く設定されることで、資金調達が難しくなるケースもあったため、木造建築物の物理的な耐用年数を適切に評価する仕組みの構築が求められていた。
ガイドラインでは、通常想定される自然条件下、維持管理条件下での耐用年数が50年以上あり、大規模な改修工事を必要とするまでの期間を50年以上に伸長するために必要な措置として、「イ・構造躯体の内部への雨水の浸入の防止」、「ロ・雨水の浸入があった場合の速やかな排出」、「ハ・雨水が浸入し滞留した場合の構造躯体の防腐処理等」という3項目を示している。これらの措置を適切に講じている場合、木造建築の構造躯体の物理的な耐久性を、鉄筋コンクリート造の法定耐用年数と同等の50年以上と捉えることが可能となる。
この耐久性評価は、法定耐用年数の見直しに繋がる可能性があり、金融機関からの評価を高めることが期待されている。
完成保証も新たに開始
初年度1000社を目標
また、「あんサポ」では、非住宅向けの完成保証も新たに開始した。事業者の財務内容の審査を行い、審査を通過した会員のみが利用可能だ。
請負契約を締結した事業者が、非住宅建築物の引渡し前に万が一、倒産などにより工事の継続が不可能となった場合、住宅あんしん保証が前払い金や増嵩工事費用を保証書記載の金額を限度に支払うことで、工事の完成を支援する。
そのほか、幅広いカテゴリーと圧倒的なメニュー数をお得に楽しめる福利厚生サービス「CLUBOFF」が使い放題となる。
「あんサポ」の開発・販売に携わる営業本部 営業統括部の赤西一宏氏は、「将来的には、事務所、店舗、保育園、診療所、介護施設、倉庫など、非住宅建築物に強い設計事務所との連携や、発注者・設計事務所・施工会社間のマッチングなども視野に入れている」と話す。初年度は1000社の会員獲得を目標としており、「あんサポ」の拡大を目指す。会員向けには、第三者評価を割引価格で提供し、セットでの加入を推奨する方針だ。
「あんサポ」の新規登録料(初年度)は5万円(税別)、更新登録料(次年度以降)は1万5000円(税別)。なお26年3月31日までは新規登録料が無料(一定の条件あり)となる。
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