New   2025.4.7

住宅ローン選びに変化の兆し 若年層で固定金利タイプが増

【フラット50】の申請も急増

 

政策金利の利上げ、住宅価格高騰のなか住宅ローンの金利上昇に注目が集まる。
こうしたなかで若年層を中心に住宅ローン選びに変化の兆しが見えている。

住宅ローンの約8割が変動金利型であるが、その市場において若年層を中心に変化の兆しが表れている。これは(独)住宅金融支援機構が行った「住宅ローン利用者の実態調査(2024年10月調査)」の未公表データから明らかになったものだ。

同調査によると、住宅ローン利用者の77%が変動金利型を選択し、約3割がペアローンを利用。また、35年超ローンを約2割(前年調査比7ポイント増)と、「夫婦が協力し、低金利・長期間の住宅ローンを利用、毎月の返済額を抑えている」((独)住宅金融支援機構 国際・調査部 調査グループ・矢野聡グループ長)ことがトレンドとなっている。特に大きな流れとなりつつあるのが若年層の長期間ローンの選択だ。同調査によると、40・50年ローンの利用割合は、40代が13%、30代が25%、20代が36%と、年代が若くなるにともなって約10ポイントずつ増えている。

ミックスローン(変動+固定)へ見直した

変動金利→固定金利タイプへ見直した

その背景には、日銀が政策金利の利上げに踏み切り「金利のある世界」が訪れているなか住宅ローンの金利も上昇傾向にあることや住宅価格の高騰などが指摘される。例えば、住宅取得予定者の62%が「日銀の利上げを受けて、住宅ローン選択に変化があった」と回答、「借入額の減額を検討」(22%)、「変動金利→固定金利タイプへ見直しを検討」(13%)、「返済期間の短縮を検討」(12%)がトップ3となっている。

直近の金利タイプをみると、「変動型」が77.4%(同2.9ポイント増)と増加する一方で、「全期間固定型」も9.0%(同1.8ポイント増)と増加傾向が出ている。同調査は10月末に行われており、7月の政策金利追加利上げを踏まえての動きとみられる。こうした変化を牽引しているのが若年層だ。先の「変動金利→固定金利タイプへの見直し」との回答者を年代別にみると、20代は7.2%であり、年代が若くなるにつれて割合が高くなる傾向がある。また、「ミックスローン(変動+固定)へ見直した」も同様の傾向で、20代は5.5%と最も高い。「足元の固定金利タイプの増加は、金利変動リスクを考慮して選んでいる可能性がある。1月の政策金利の追加利上げを受け若年層がさらに動くか」(矢野調査グループ長)とみられる。

もう一つ特筆されるのは、住宅ローンに対するリテラシーが上がると固定金利タイプを選択する人が増えることだ。変動金利型のローン返済を開始して5年以上経過した人に、借入当時の金利変動リスクに対する意識を聞いたところ、「将来の金利のことはあまり考えても仕方ない」、「変動金利タイプは多く利用されているから大丈夫だろう」、「金利変動リスクがあることをあまりわかっていなかった」との回答が多い。また、金利上昇時の返済額の変化について「具体的に資産して把握していた」人は4割しかいない。

さらに、住宅ローンの主な相談先ごとに固定金利タイプを利用した割合をみると、「住宅・販売事業者」が18%、金融機関が26%、FP等の専門家が32%と顕著な差が出ている。また、FP等に相談した層は比較したローンの数も2つ以上が半数を超えており、他に比べ倍近くになっている。何となく変動金利タイプを選ぶのではなく、金利タイプごとのメリット・デメリットや、金利変動リスクなどを十分に理解した上での選択が望まれる。

【フラット50】の利用が急拡大
24年は前年から約3倍の伸びに

もう一つ特筆されるのが【フラット50】の利用が急増していることだ。


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