New   2025.3.11

日本の木で作った窓にこだわる 生産設備の拡充など視野に木製窓のさらなる普及を

日本の窓 代表取締役 佐藤正志 氏

 

国産スギにこだわった木製窓を製造している日本の窓。
大手建材メーカーも木製サッシの販売を開始する中で、日本の木で作る日本の窓を作るというこだわりを強めている。
同社の佐藤正志代表取締役に話を聞いた。

きっかけはイタリアの街並み景観

―そもそも木製サッシの製造に取り組んだきっかけは。

日本の窓 代表取締役 佐藤 正志 氏

当社を設立したのは、東京組という世田谷区や目黒区などを中心に住宅事業を展開している工務店です。その東京組の創業者である中野渡利八郎氏は、日本の街なみ景観の乏しさを嘆いていました。例えば、イタリアの街並みと比較すると、どうして日本の街並みは美しくないのか―。そういう思いでイタリアの住宅を視察する中で、窓の違いに気づいたそうです。

まず窓が木製である。そして、日本の場合は窓と外壁の面を合せることが一般的ですが、イタリアの住宅では、窓が内付けになっていたのです。窓を内付けにすると、壁面と窓の部分に凹凸ができます。それによって陰影ができ、住宅外観の雰囲気が大きく変わるのです。

内付けにすることで、住宅内部から窓のメンテナンスを行えるだけでなく、将来的には外壁や防水層に手を加えることなく窓を交換することもできます。内開きになるので、窓の外側を掃除する際に危なくありません。

そこで、東京組ではイタリアのメーカーから木製サッシを輸入し、自社で販売する住宅に採用するようになったのです。

問題もありました。東京組の商圏のほとんどは防火地域か準防火地域であり、防火認定を取得したサッシが必要だったのですが、イタリアのメーカーのものでは、どうしても国内の試験をクリアできませんでした。そこで、鉄扉や鎧戸を使って対応していたのです。

2013年末になると、アルミサッシの通則認定問題が発生します。通則認定を取得していたアルミサッシの多くが防火性能を満たしていないことが分かり、通則認定から個別認定へと切り替わることになったのです。その結果、防火認定を取得したサッシの価格が大幅に値上がりしました。防火地域や準防火地域を商圏とする東京組にとっては死活問題です。

ちょうどそのタイミングで、中野渡が木材加工機械の展示会で、海外の最先端の加工機を目にしました。「これだけ高性能な加工機械があるなら、自社で木製窓を製造できるのではないか」と思い立ち、日本の窓を設立することになったのです。

ゼロからのスタート
2017年に工場が完成

―木製窓の製造についてはゼロからのスタートだったわけですね。


この記事は会員限定記事です。
無料会員になると続きをお読みいただけます。

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。