業界初のリモート現場管理代行サービスで山積する課題を解決していく

新築市場低迷、労働力不足、インフレ…

 

log build(建設テック事業)
ecomo(住宅事業)
中堀 健一 代表取締役

聞き手
創樹社 代表取締役社長 中山紀文

新築市場の低迷、労働力不足、デフレからインフレへの転換など、住宅市場をめぐる状況は混迷を極めている。
こうした中で、どのようにして持続的な成長を遂げていけばいいのか―。
log buildでは、業界初のリモート現場管理代行サービスによって、住宅会社が「スマートビルダー」へと変革することを支援していこうとしている。
同社の中堀健一 代表取締役にその真意を聞いた。

中山 現在の住宅市場をどのように捉えていますか。

中堀 当社は、もともとは神奈川県の湘南で建設業を営むecomoのIT事業部として発足しました。現在でもecomoでは、住宅事業を行っていますが、新築市場が厳しい中でも、受注棟数を伸ばしています。
資材高騰などの影響もあり、ecomoが販売する注文住宅の平均価格帯は2800万円から3800万円にまで上昇していますが、デザイン性や性能などにこだわった住宅が評価され、これまでとは異なる層のお客さまからの支持も得ることができています。

中山 現状を見ていると、一様に棟数を落としているのではなく、中には順調に棟数を伸ばしている住宅会社も存在しているという感じがします。従来から明確なこだわりを持った住宅を供給している工務店などは、それほど厳しい状況に陥っていない印象があります。

中堀 ecomoが好調を維持しているもうひとつの要因が、エリアフリー戦略です。

SNSなどを見て住宅会社を選ぶお客さまが増える中で、ecomoが対応していないエリアからの問い合わせが増えています。ただ、あまり離れたエリアで受注してしまうと、効率性や生産性が落ちてしまう。そこで、log buildのLog Systemを用いて、リモートでの現場管理を行うことで、離れたエリアのお客さまであっても対応できる仕組みを構築したのです。

Log Systemは、リモートでの現場管理を可能にするDXツールです。360度カメラと専用のアプリケーションを使用して、簡単で手軽に建築現場をVR化するLog Walkや、スマホひとつでリアルタイムに、誰でも簡単に現場と繋がる専用のアプリケーションLog Meetなどを利用することで、遠隔での工事管理や検査などの業務を行えます。そのため、離れたエリアのお客さまでも対応できるというわけです。

さらに言うと、標準施工要領などを整備し、施工品質を確保するためのチェック項目などを明確化することで、日常的な品質チェックは現場監督ではなく、内勤スタッフが行うことも可能になります。

住宅建築については、グレーゾーンが数多く存在しています。そのため、現場監督や棟梁の判断基準で属人的に○か×を決めることになる。この状況が時にクレームややり直し工事の原因になる。我々はグレーゾーンを徹底的に排除し、〇と×の判断基準を明確にしました。だからこそ、内勤スタッフでも品質チェックができるのです。

その結果として、現場監督は着工までに前準備やコストコントロールといった重要な業務に集中できるようになります。

中山 お客さまとの打ち合わせはどのようにしているのですか。

中堀 今のお客さまはオンラインでの打ち合わせが当たり前になっているため、打ち合わせをオンラインで行うことに抵抗感はありません。むしろ好意的に捉えています。
3DCADなどを使いながら全てオンラインで完結した方が、お客さまの満足度も向上するようです。

DXによってスマートビルダーへの変革を支援

中山 ecomoで培ってきた遠隔での現場管理の手法を他の住宅会社にも提供していると聞きましたが。

中堀 業界初の現場監督支援サービスとして、Log Systemとコンサルティングサービス、さらにはBPOとして、リモートでの現場管理を代行するサービスも提供しています。このサービスを通じて、多くの住宅会社さまのデジタル化ではなく、DXを支援していきたいと考えています。

当社では、住宅会社さまの業務内容に応じて、標準施工要領書を作成し、リモートチェックリストやマニュアルなどを明確化する部分からお手伝いしています。その上で、Log Systemを導入していただき、業務改革、つまりデジタル・トランスフォーメーションを実現してもらうのです。

おかげ様で、全国で事業を展開するハウスメーカーさんから、地域密着で事業を行う工務店さんまで、幅広い住宅会社の方々に利用していただいています。

中山 BPOとはどういうサービスなのでしょうか。

中堀 リモートでの現場管理を行える人材を確保できないという住宅会社さまも存在しています。また、繁忙期になると人材が不足してしまうというケースもあるでしょう。そこで、当社にリモート現場管理をアウトソーシングできる体制を整えているのです。

中山 単にツールを提供するだけでなく、業務形態を根本的に変革するためのサービスも同時に提供するというわけですね。そのことによって、リモートでの現場管理業務をアウトソーシングすることも可能になると。

中堀 デフレ時代の場合、それほどコストコンロールを気にしなくても、ある程度の利益は確保できます。しかし、インフレ時代はそうはいきません。あらゆるコストが上昇していくわけですから、適切なコストコントロールを行わないと、一気に経営基盤が揺らいでいきます。

働き方改革によって残業時間の上限規制が設けられたことで、これまでのように現場監督に無理を強いることもできません。

さらに言うと、協力業者の方々も含めて住宅建築に携わる全員が幸せになるような業態へと変革しないと、住宅業界の未来は萎んでいく一方です。

私自身、設計者であり、現場監督も経験しましたし、経営者でもあります。正直に言うと、お客さまからのお叱りの声で、胃が痛くなることもありました。その想いから、Log Systemを開発し、現場監督支援サービスの提供を開始しました。

リモートで現場管理ができる仕組みを構築することで、生産性が高まり、会社としては利益を確保しやすくなります。現場監督の業務負荷は減り、本来やるべき業務に集中できるようになる。利益が増えれば、その分を協力業者の方々に還元することも可能になるでしょう。そして、何より施工品質が高まることで、お客さまの満足度も高まります。

我々のサービスを利用し、こうした好循環を生み出すことで、次世代を担うスマートビルダーの方々を支援していきたい。それが我々の最大のミッションです。

中山 問題が山積している住宅業界ですが、デジタルツールを上手く使いこなしながら、真の意味でのデジタル・トランスフォーメーションを実現できれば、まだまだ成長の余地はありそうですね。本日はありがとうございました。

株式会社log build
TEL: 0466-90-3381
https://www.log-build.com