ウッドステーション、木造住宅の「概算見積AI」をスタート
意匠図から積算見積を自動化
ウッドステーションは、木造住宅の意匠図のPDF図面から、木材、サッシ、断熱材などの拾い出しと概算見積りを自動で行う「概算見積AI」を開発し、利用者の募集を開始した。
同社は2018年に起業、大型パネルの受託製造、完成躯体(スケルトン)の建設支援によりオープンな形で木造住宅の高度工業化を推進する。工務店や設計事務所などから提供された図面を基にして、木材、サッシ、断熱材などが一体化された大型パネルを製造する。
しかし、取り引きの共通情報となる意匠図(PDF図面)では見えない情報があり、そのままでは大型パネルの生産ができないため、見えない情報を突き詰めて解明し、木材、サッシ、断熱材を詳細に拾い、概算見積りを算出している。
これまでに受注に至らなかった案件も含めて、数千棟のデータを蓄積してきた。概算見積AIは、そうした大型パネル事業で得た実績と知見に加え、AI画像解析技術を活用することで、必要な資材や工事費の概算見積りを自動で作成するシステムだ。従来は人手で行っていた概算見積りの作業を効率化し、コストダウンを実現する。
髙徳正史営業課長は、「実はPDF図面には膨大なデータが詰まっている。平面図の間取りや部屋ごとに、また、立面図の屋根、壁、窓ごとに、まずは人が手を加えながら、区画を限定するマスク指示をすることで、AIが学習を重ねて賢くなる。たくさんの図面がアップされるほど概算AIは賢くなる。多くの方にどんどん利用してもらい概算AIを育ててほしい」と話す。
大型パネルで集積した実績値を活用
工務店や設計事務所などは、建物仕様のPDF図面を専用のウェブサイトにアップロートすると、AIが壁や間取り開口などのマスクデータを自動で抽出する。さらに、ウッドステーションは全国での取引実績から木材、サッシ、断熱材の実勢価格を把握しており、その実勢価格を活用することで概算見積書を自動で作成するという仕組みだ。「実勢価格とはいえ、『うちはもっと安かった』という声もあるため、編集機能も持たせている」(髙徳営業課長)。
実際に試験的に概算AIを利用したサトウ工務店(新潟県三条市)の佐藤高志代表取締役は、「構造材などの数量は適切に拾えている。概算見積りの作成時間が大幅に短縮された。自社の設計を見直す良い機会になった」と評価する一方で、「より合理的な設計を追求することでまだまだコストダウン、利益を増やせる余地はある」と指摘した。
一棟の概算見積り
構造計算、温熱計算との連携も
ウッドステーションは、今後マスク指示の範囲を拡大し、内装や設備などの見積り項目を増やし、家一棟丸ごとの概算見積を目指す。
さらに構造計算や温熱計算との連携を図ることで、概算AIをさらに発展させていく考えだ。
また、大型パネル生産パートナー会にデジタル会員を新設し、概算AIの利用を一般ユーザーにも開放する。概算AIの年間利用料は24万円(月額2万円)、1ライセンスあたりの見積もり作成上限は月50件。そのほか、最初のログインから7日間、10回の見積作成が利用できる、お試し申込も用意した。
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