カズマ、竹や大麻など自然素材でつくるカーテンを販売
将来的には使用済みカーテンを土へ還す循環づくりも視野に
カーテンを中心としたホームファッション商品の企画・製造・販売を行うカズマ(福井県福井市、数馬亜季子代表取締役社長)が、自然素材100%のカーテンを相次いで発売。年内には中国進出も目指す。
カズマは、糸の調達から、生地づくり、刺繍まで一貫して自社で行っている。もとはOEMを主体として事業を行っていたが、「OEMだけでは長期的な事業利益につなげるのが難しい。ものづくりの体制は整っていたのでそれを生かして、自社製品をつくりたいと思った」(数馬社長)と、約6年前に自然素材を扱う独自ブランド「KURASHIKU(クラシク)」を設立、オンラインでの販売を開始した。ブランドの立ち上げを構想し始めたのは2016年ごろから。消費者のなかでナチュラル志向が高まっているのを感じ、自然素材であればOEM取引の企業とも市場がバッティングしないため、事業として適していると考えた。
ただ、自然素材はカタログなどデータ上の色と実際の商品の色が異なる色ぶれや、伸び縮みによる寸法変化が起こりやすいことが課題にあった。消費者に丁寧に説明を行い、納得を得たうえで購入してもらうことでトラブルになることはほとんどないというが、洗濯によって10%~20%の寸法変化が起こるなど寸法部分での課題には、カーテン本体とレールを繋ぐパーツで長さ調節ができるように工夫した。
素材はコットンや麻などからスタートし、100%和紙で作った「kami」や、竹と綿で作った「take」、大麻と綿の「ooasa」なども展開している。特に、23年4月に発売した「kami」は「価格も高く、素材として和紙というのも浸透していない中で展開することに不安もあったが、予想以上の反響があった」(数馬社長)と、その後、様々な素材に挑戦するきっかけとなった。染色は、アロニアやコーヒーのかすを使用。特殊な製造方法により、土に敷くと数か月で土に還り、微生物を増加させて有機土に変える働きを持つ。「take」は、バンブーレーヨンのように、薬剤で繊維を溶かすのではなく、そのままの素材で布にする。原料の竹は、中国の四川省で入手。竹繊維を抽出したものを、日本でコットンの繊維と撚り合わせて糸にする。竹や大麻といった素材は、繊維が細かく硬いため生地を織るのが難しいが、この二つの素材については、江戸時代から遠州織物を製織しているヤマヨ伊東織物(静岡県磐田市)に依頼し、質の良い製品を完成できたという。
環境貢献の視点では、材料の廃棄を限りなく少なくするため、6サイズの規定サイズのみで展開し、細かい調整は取り付けパーツで行ってもらうようにしている。将来的には、使用後のカーテンを回収して、土に還す循環の仕組みづくりまでやっていきたいという。数馬社長は自然素材の魅力について、「抗菌にしても、紫外線カットにしても、素材が本質的に持っている機能は洗濯を重ねても機能が劣化せず、むしろ洗濯を重ねることで高い効果を発揮するようになるというデータもある。自然の力が一番素晴らしいのではないか」と語る。今後は、海外での展開も目指す。まずは、自社工場がある中国で年内を目処に販売を開始予定。2月に展示会に出展した際にも、1日200組以上がブースに訪れ、確かな手ごたえを感じたそうだ。
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