2024.7.23

大東建託、施工管理体制強化の取り組みを推進

DX活用による業務効率化や初の外国人正社員採用

2024年問題を受け、施工管理体制強化を進めている。自社開発のDX活用による効率化や、積極的な外国人労働者の採用、職人の大会「匠マイスター選手権」開催など様々な取り組みで問題に対応していく。

建設業界全体がかねて抱える高齢化、人手不足、長時間労働などの問題は、2024年4月からの働き方改革法の適用により、さらに厳しい状況となっている。その中で、同社は施工管理体制強化のために様々な取り組みを進めている。

施工管理体制強化と、人材確保の難しさについて語った大東建託の泉和宏工事統括部長

1つがDXによる施工管理業務の効率化だ。24年1月の改正電子帳簿保存法の本格施行で、すべての事業者に対して電子取引情報の保存が義務化となったことに対応し、自社開発の「電子施工管理システム」を25年1月から協力会社に先行販売、同4月から一般販売する。見積書、注文書、請求書、作業員名簿の管理機能に加え、下請契約台帳や施工体系図の作成など、施工体制台帳に必要な書類のデジタル化を可能とするもの。初期投資が困難な中小規模の建設会社などに販売し、業界のDX化を推進する。また、現場では約2年前から一部で遠隔支援アプリによるリモート検査を行い、業務効率化を図っている。現場監督は、アプリを使用することで、映像を通して離れた場所の建物や躯体の状態を確認することができる。そのため、管理の精度を下げずに、管理者の移動時間を約30%削減することができているという。

人材確保と働き方改革にも力を入れている。一つが外国人材の積極採用だ。今年9月に、ウズベキスタンのタシケント国立工科大生を対象に現地で採用試験を実施し、日本人社員と同じ待遇で25年度の正社員として迎える。同社では約10年前から下請け会社で東南アジアからの技能実習生を受けいれてきたが、自社の正社員として外国人を採用するのは初となる。同12月の来日後、国内社員と同水準の社宅を供与し、日本語教育も支援。25年4月から25年学卒者と合流し、同様のカリキュラムを実施する。泉和宏工事統括部長は「ウズベキスタンは働き口がなく、大学を卒業した学生は外国に就職することが多い。26年度以降も同国での採用を継続する予定で、今後その他のアジアの国から採用する可能性もある」とした。また、即戦力となる外国人現場監督の中途採用も開始した。日本で現場監督経験があるミャンマー人1人を中途採用し、7月から特殊物件に特化した特建工事センターに配属する予定だ。

社員のサポートも充実させた。22年には若手作業員の育成、定着を推進するため、自社訓練校「大東テクニカルカレッジ」を開校。約2か月間の研修で、熟練講師が大工の基礎知識を教え、造作工事の実践も行う。他業種から大工職を学んで多能工職を目指す生徒が多く、これまで37人が修了した。また、社内の女性施工管理職向けの職種転換制度も導入した。産前産後休業、育児休業から復職後、子どもが8歳になるまでの間、復職先を工事課(事務職)、設計課、積算課の中から選択し、転換できるようにした。

また、若年層の建設業界離れと次世代への技術継承を目的に22年に「匠マイスター技能選手権」を初めて実施。約15万人の大東建託協力会会員の模範となる職人が、その腕を競った。第2回大会は今年7月から予選が始まり、25年11月に本大会を予定する。

泉工事統括部長は「非常に現場監督の採用に苦労しており、近年募集人数に満たない状況だ。外国人の現場監督は、何年かかるかわからないが、200人まで増やしていきたい」。様々な施策で、人材確保に努める。