2024.7.18

法政大学、ビジネスの“実践知”を教える社会連携教育科目をスタート

ミサワホーム竹中前会長らOB、OGが講師に

社会連携教育科目をスタートした。豊かなビジネス経験を持つ卒業生が講師となり、それぞれのキャリアの中で体得した“実践知”を伝える。校友会会長の竹中宣雄ミサワホーム前会長らが講師を務める。

一般的に大学において外部有識者を客員教授、特任教授などとして招き、寄付講座や社会連携講座などを実施する動きは広がっているが、今回、法政大学がスタートした社会連携教育科目は、これらとは一線を画すものとなる。寄付講座や社会連携講座などは、企業などからの寄付を受けて実施するもの。単独企業からの寄付で開催するのが寄付講座、複数企業からの寄付で開催するのが社会連携講座であり、テーマ設定や講師の人選などにも一定の影響力を持つ。対して今回の社会連携教育科目は、企業などからの寄付を受けずに実施する。テーマ設定や講師の人選の権限は大学にあり、校友会、法政財界人倶楽部(同学卒業の上場企業取締役経験者を中心に組織される校友会の下部組織)に人材(講師)派遣で全面的に協力してもらう。

社会連携教育科目の授業で、後輩である現役学生を前に講師として登壇する竹中ミサワホーム前会長

校友会会長を務める竹中ミサワホーム前会長は、「校友会には社会経験豊富な人材がたくさんいる。現役学生の役に立つことをやりたいと社会連携教育科目の創設を法政大学に持ちかけた」と話す。豊かなビジネス経験を持つ卒業生が講師となり、それぞれのキャリアの中で体得した“実践知”の内容やノウハウについて、様々な事例や出来事を示しながら自らの言葉で解説する。「卒業生が現役学生にエールを送る場であり、講師の方には、社会人としてのノウハウ、成功体験を語ってほしいと伝えている。リクルート活動の中では聞けないようなことを、授業を通して赤裸々に話ができる場にしていきたい」(竹中氏)。

第1回の授業はオリエンテーションで、その後、卒業生講師によるオムニバス形式のリレー講義で、3人の講師がそれぞれ3週分の授業を受け持つ。最後に論述試験を行う。成績評価により単位取得も可能だ。社会連携教育科目の責任者である佐野哲副学長は、「1講師(1企業)に割り当てられた3回の授業のうち1回は、現役で働いている社員を講師にしてほしいとお願いしている。現役社員がどのようなモチベーションで働いているのか。待遇はどうか。リアルな声を届けることで学生により興味を持ってもらいやすくなる」と話す。授業ではSNSのX(旧Twitter)を活用。リアルタイムで学生の率直な感想、疑問点などを拾い講師にフィードバックすることで発言のハードルを下げつつ対話が深まるように工夫している。

この春から試験的に社会連携教育科目をスタートした。竹中氏も講師のひとりとして登壇。住宅営業としての現役時代の仕事ぶりをはじめ、現在、住宅会社のフィールドが、単に国内で戸建て住宅を売ることだけではなく、まちづくりや海外にまで広がっていること、新しいゼネコン、商社としての機能が強まっていることなどを解説した。学生からは、「いい時代でしたね」、「転職のタイミングを見極めるには」といった率直な感想が寄せられたほか、「住宅業界って面白そう」というポジティブな反応もあり、ミサワホームに会社訪問したいという学生も現れているという。「結果として企業にとっても優秀な人材を確保しやすくなり、リクルートにもつながる」(竹中氏)。この春の試行を経て、来年度から春と秋の2回、開催する計画だ。