三井ホーム/相鉄不動産、木造マンションシリーズ初の複合用途「KNOCKSゆめが丘」
内装への木材使用などさらなる展開
木造賃貸マンション「KNOCKSゆめが丘」が、相鉄いずみ野線ゆめが丘駅前に完成した。相鉄不動産との共同事業で、木造マンションシリーズ「MOCXION」として初の複合用途。同シリーズの技術を集大成した。
三井ホームは2021年に木造マンションブランド「MOCXION」を立ち上げ、循環型資源である木を主要構造材に用いたマンションの普及・拡大に努めてきた。今回は、環境に配慮した取り組みを目指す相鉄不動産と組み、相鉄いずみ野線ゆめが丘駅前に同シリーズ初となる複合用途賃貸マンションを竣工した。木造枠組壁工法(1階のみRC造)の5階建て、木造階は、石こうボードで被服した1時間耐火構造の建築物で、同社が手がけた木造マンションとして最大規模となる。総戸数74戸で、賃料は7万3000円から16万5000円(共益費別)。一階にはクリニックモールの開業を予定している。6月22日から入居を開始し、7月25日の大型複合商業施設「ゆめが丘ソラトス」開業を追い風に、秋頃の満室を目指す。
木造マンションの魅力の一つが脱炭素への貢献だ。木造建築を長く使用することで、木材に含まれる炭素を大気に戻さず、地球温暖化防止につながる。この「KNOCKSゆめが丘」には、木材を765㎥使用。スギの木換算で約1295本に相当する654t-CO₂の炭素量を貯蔵する。また、一部の床根太に国産材を使用し、国内の森林の持続的なサイクル構築にも寄与。国土交通省が木造建築物の振興政策として進める「優良木造建築物等整備推進事業」、横浜市の木材利用に関する評価で住宅として初めて「木材利用優良建築物」に採択された。
耐震強度を確保しながら厚みを軽減した高強度耐力壁「MOCX wall(モクスウォール)」、RCマンション並みの遮音性を誇る高性能遮音床システム「Mute」、中層建築における耐力壁の高強度化に対応した独自のタイダウンシステム「ロッドマン」、屋根断熱構造材「DSP」など、これまでの木造マンション建築技術を集大成した。工期短縮の効果も期待できる。工場でパネル化し、現場で組み立てる。23年5月に着工し、24年5月に完成した。同じ規模の建物をRC造で建てるより、約3ヶ月工期を短縮することができた。オーナーに対して、木造を採用しやすくするためにエンジニアリングレポート作成のサポートも行っている。RC造と同等の償却年数の運用が可能となる。同社の施設・賃貸設計部 設計グループ(第一)玉井一行マネジャーは「これで技術が完成というわけではない。より高い耐震性や、防火性を持つものなど、共同住宅のみならず、施設系の建物に転用できるようなものを作っていきたい」と進化の展望を語った。
同マンションでは、1階のホールなど共用部の一部に木材を用いているが、今後はさらに積極的に使用していくという。木造建築の受注は好調で、「需要拡大を強く感じている」と玉井氏。現場の人材確保、国産材の調達の難しさなど課題はあるが、さらに技術開発と建設を進める。
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