アクセルラボ/美和ロック、Matter対応に向けて協業
スマートホーム普及の加速を目指す
スマートホームの通信規格「Matter」に対応したスマートホームゲートウェイとスマート電動サムターンの共同開発を開始した。「Matter」対応を進め、スマートホームの普及拡大を図る。
アクセルラボと美和ロックが、スマートホームの通信規格「Matter」の対応に向けた協業を開始した。
「Matter」とは、世界中の685以上のテクノロジー企業が参加するアメリカの国際コミュニティ「Connectivity Standards Alliance(CSA)」が推進するスマートホームの国際的な通信統一規格のこと。CSAにはAmazonやApple、GoogleといったグローバルIT企業が参加している。
現在、国内外を問わずあらゆるメーカーから住宅をスマート化するIoT設備・家電などが発売されている。しかし、従来の通信サービスはデベロッパーやハウスメーカー、家電メーカーなどがそれぞれ独自のシステムを形成しており、そのシステムに対応した機器のみが制御・コントロールできるというクローズドな縦割りサービスだった。そのため、各設備・家電などのメーカーはさまざまなスマートホームの通信規格とそれぞれと連携する必要があった。
こうした煩雑さがスマートホームの普及を妨げている要因の一つとなっている。アクセルラボによれば、2023年時点のスマートホームの認知度は37%であり、19年の13%から着実に伸長している。だが、その普及率については23年時点で4%と19年の2%から伸び悩んでいるのが現状だ。
一方、「Matter」は認証済みの設備・家電などの機器であれば、メーカーやプラットフォームの垣根を越えて相互に連携させることが可能。これに対応することで一つのスマートホームサービスの中であらゆる製品をコントロールできるようになる。そのため、22年10月の発表以来、世界中で対応企業が増えており、スマートホーム業界のスタンダードな通信規格として広がりを見せている。
Matter対応のスマートロックを国内初開発
ユーザーが導入しやすいIoTサービスを提供へ
アクセルラボと美和ロックは、今回の協業により「Matter」に対応したスマートホームゲートウェイと、このゲートウェイに連携する「Matter」対応のスマート電動サムターン「PiACK(ピアック) Ⅲ PG Matter対応モデル」の開発を進めていくとした。
美和ロックは、17年に「wiremo(ワイレモ)」という遠隔施錠・解錠サービスを同社の電気錠向けにリリースしており、すでにスマートロック対応製品を保有していた。近年需要が高まっており、23年の出荷実績は前年比1.5倍だったという。だが、あらゆるIoT機器のシームレスな通信を可能にする「Matter」に対応することで、この需要をさらに喚起できると考え、「PiACK Ⅲ PG Matter対応モデル」の開発を決めた。Matterに対応したスマートロックの開発は国内初のことだ。
また、アクセルラボは23年1月にCSAに加入しており、「Matter」に対応したスマートホームゲートウェイの開発を進めていたが、両社の知見や技術を生かした「Matter」対応の製品開発が、今後の国内でのスマートホームの浸透の一助となると考えた。
「PiACK Ⅲ PG Matter対応モデル」は、Matter対応によりアクセルラボが提供するスマートホーム統合サービス「SpaceCore(スペース・コア)の」アプリからの操作が可能になる。また、「Matter」対応プラットフォームであれば、ほかのスマートホームサービスを介して操作することも可能だ。新築物件への導入はもちろん、マンションやアパートの玄関扉に多く採用されているプルプッシュ錠に対して後付けすることができ、既存物件の価値向上に貢献する。
美和ロック・商品企画部の田中俊一主任は、「Matterに対応することでスマートロックの価値がさらに向上すると考えている。また、スマートロックはスマートホームの中でも基本中の基本と言える機能の一つ。そのため、スマートロックがMatter対応することで、その他の機器でもMatter対応品が増え、スマートホーム全体の普及にも貢献していくはず。Matter対応のスマートロックといえば美和ロックと言ってもらえるようなパイオニア企業を目指していきたい」と話す。
なお、「PiACK Ⅲ PG Matter対応モデル」は、24年12月の販売開始を予定している。両者は、よりユーザーが導入しやすいIoTサービスの実現に向け、取り組みを加速させていく考えで、「PiACK Ⅲ PG」以外のスマート電動サムターンについても順次Matter対応を検討していくとした。
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