タカラスタンダード、小森大氏が新社長に就任積極的な社内改革を促進
2024年4月1日付で小森大氏(取締役 常務執行役員 兼 東京支社長)が9代目代表取締役社長 社長執行役員に就任した。
「積極的な社内改革に挑戦していく」考えで、キッチンにおいてリフォーム分野を強化することで国内事業の収益アップを狙う。
タカラスタンダードの2024年3月期第3四半期の連結決算は、売上高1794億1200万円(前年同期比3.9%増)、営業利益107億1800万円(同7.5%増)の増収増益となった。特に、売上高については第3四半期における過去最高を更新するなど、厳しい市場環境の中でも着実な成長を見せた。23年4月に実施したシステムキッチンと洗面化粧台の価格改定、8月に実施したシステムバスの価格改定などが奏功し、新築市場・リフォーム市場共に売上げが拡大した。ただ、価格改定の時期が遅れ、上期における下振れ分を補い切れていないことなどから、通期の営業利益は当初計画から下方修正し、12.8%減の123億円と予想した。
こうした状況のなか、今回の社長交代は経営環境の変化に迅速に対応するために実施した。社長交代は実に21年ぶりのことで、渡辺兵夫 前社長は代表取締役会長に就任した。当面は小森社長と共同で経営を担っていくとし、社会課題の解決に寄与する未来ビジョンの創造を進める。
コロナ禍以後、経済活動の正常化やインバウンド需要の回復、急激な物価高騰などにより社会情勢は大きく変化している。社長交代によって次世代に向けた新たな経営体制に移行することで、企業としての持続的な成長と中長期的な価値向上に向けた取り組みの強化につなげていく。
小森社長は、「基本的な経営方針は渡辺 前社長時代のものを踏襲し、決めたことをしっかりと実現していくことが新社長としての役割だと考えている。とは言え、変えていく部分はしっかりと変えていく。近年は社会変化の速度が著しく、支社長時代はこれを敏感に感じていた。こうした変化に乗り遅れないためにも、スピード感を持って当社全体を変革させていくことが重要」と社長就任への意気込みを語った。
この変革の一環として、今年3月には社長直属の部署である「構造改革推進室」を立ち上げた。「あらゆる変革のためにはトップに立つ人間がゆるぎない覚悟を持ち、自ら動かなければならない」(小森社長)として、社内の構造改革を推進する。
例えば、昨今はあらゆる業界で人手不足が騒がれているが、東京支社では「シンカ会議」というものを定期的に開催し、若手人材教育に力を入れている。「構造改革推進室」では、こうした変革につながる好事例を全国に横展開していきたい考えだ。
また、創業112周年を迎える今年5月にリリースを予定している新たな中期経営計画では、「変革への再挑戦」を大きなテーマに掲げている。社内変革はもともと今期の中計で進めていく予定だった。しかし、今期はコロナ禍に直面したことで巣ごもり需要からキッチンをはじめとした住設機器の注文が好調に推移。だが、資材や部品不足から納期遅延が発生し、メーカーとしての供給責任を全うするためにフル生産で対応してきた。そのため、目の前の現場納入がやっとの状態が続き、変革まで踏み込むことができなかったという。次期中計期間の3年間で改めて社内変革に取り組み、社会の変化に柔軟に対応していく。
リフォーム分野強化で国内事業の収益アップへ
事業面では、キッチンを中心にリフォーム分野を強化し、国内事業の収益アップを図る。
23年の新設住宅着工戸数は82万戸を割り、81万9623戸となった。新築住宅市場が厳しさを増すなか、住設メーカーが今後市場で生き残っていくためにはリフォームへの対応が不可欠と言える。現状、同社のキッチンシェアは29%と業界トップだが、その内訳は新築に偏っているという。そこで、次期中計期間はリフォーム向け製品の開発に注力し、新製品の市場投入を進めていく。
さらに、洗面化粧台やバスのシェアは業界3番手で推移しているが、中長期的にはこれらの製品でもトップシェアが取れるよう、リフォーム向けの高機能商品などの開発を進めるとした。
また、高性能ホーローを武器に海外事業では引き続き2030年までに100億円の売上げを目指すほか、国内・海外事業に次ぐ第3の柱となるような新規事業を模索し、「新たなタカラスタンダードとしての姿を確立していく」(小森社長)考えを示した。
タカラスタンダード 代表取締役社長
小森 大 氏
小森大 新社長のプロフィール・略歴
1970年11月19日生まれ(53歳)。出身地は長崎。94年3月に大分大学経済学部卒業後、 同年にタカラスタンダードへ入社。06年岡山支店長、10年本社営業本部営業課長、13年埼玉支店長、19年東京支社長、23年取締役および常務執行役員などを経て、24年4月より代表取締役社長 社長執行役員に就任。
これまでの主な功績
①東京エリアのリフォーム売上高を約1.8倍に拡大
人財の投入や組織の再編などを積極的に行い、東京エリアの売上拡大に貢献した。
具体的には、個人単位だった営業組織をユニット化し、営業担当が営業活動に専念できるようにサポートする組織を立ち上げるなど、東京支社独自の人財活用施策に取り組んだ。
また、22年には業界唯一のマンションリフォーム特化型拠点として「東京MRe.墨田ショールーム」と「東京MRe.墨田テクニカルベース」を新設。マンション化率が全国トップである東京都において、マンションリフォームシェアの拡大を図った。これらの取り組みにより、23年度の東京エリアのリフォーム売上高(見込み)は18年度比で約1.8倍に増加した。
②業界団体との取り組みを強化
(一社)全国リフォーム合同会議(二宮生憲 代表理事)、(一社)ベターライフリフォーム協会(橋本政昭 代表理事会長)などのリフォーム業界団体に所属し、業種の垣根を超えた活動を積極的に推進。リフォーム業界全体のイメージ向上に努めた。
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