2024.3.18

タカラスタンダード、インド進出で海外事業をさらに強化

30年に売上高100億円を目指す

インドを新たな進出候補国に定め、海外事業の強化を図っていく。23年12月にはインド国内で開催された建築展示会にも出展し、現地でのホーローの需要調査などを行った。

タカラスタンダードは、インドを海外事業における「重点戦略候補国」に位置付け、新たに進出する方針を掲げた。

同社は、2015年に本格的な海外展開を開始。東南アジア地域を中心にホーローを主軸としたキッチンの訴求などに注力してきた。東南アジアは湿度が高いため、湿気に強いホーロー製品は親和性が高く人気だという。24年1月時点で、台湾、中国、ベトナム、香港、シンガポール、ミャンマー、カンボジアの7カ国で事業を展開。22年度の総売上高は12億円となっている。

近年、国内の新築住宅着工戸数は、減少傾向が続いている。国土交通省の建築着工統計によると、23年の新築着工戸数は81万9623戸(前年比4.6%減)だった。国内住宅市場が縮小するなか、キッチンなどの住宅設備メーカーが事業を継続・拡大していくためには海外展開の強化が不可欠と言える。

「Economic Times ACETECH 展」に初出展し、インドでのホーロー需要を確認した

このほど、タカラスタンダードが新たな進出先として狙うインドは、今後大きな経済発展が見込まれている。人口増加を背景にGDPが著しく成長しており、現在世界5位に位置している。今後は日本やドイツも追い抜き、世界3位の経済大国になることが確実視されているところだ。これに伴い、インド国内では富裕層が増加していくと見られている。同社は、こうした富裕層向けにホーローキッチンの訴求を進めていこうとしている。ホーローは高級感があり、耐久性や清掃性に優れていることが強みになると考えている。

石山登一・海外事業戦略室長は、「世界的に見ても、確実な経済成長が見込まれている国は数少ない。インドの人口は14億人を超えており、仮に上位10%が富裕層と考えてもその数は日本の総人口よりも多い。富裕層だけに絞っても日本全体より市場が大きいため、進出する意義は大きい」と話す。

インドの展示会に初出展
現地のホーロー需要を調査

インドへの進出に向け、昨年12月にはインド・ニューデリーで開催されたアジア最大規模の建築展示会「Economic Times ACETECH展」に初出展した。現地のホーローの需要やパートナー候補企業を調査する目的で出展した。

会場には、ホーローシステムキッチンのフラッグシップモデルである「レミュー」を展示。4日間の会期中、約500人のインテリアデザイナーや設計会社の担当者がブースを訪れ、ホーローの清掃性やデザイン性が注目を集めたという。革新的な提案を行った初出展メーカーとして、同展示会事務局から表彰もされた。インド国内でのホーロー需要の高さが確認できたため、今後は本格的な進出に向けた検討を加速させていく。

「インドで事業展開している日本のキッチンメーカーはまだいない。いち早く進出することで、インドでの地位を確立し、海外事業の目標としている『2030年に売上高100億円』の達成を目指したい」(石山海外事業戦略室長)考えだ。