相鉄不動産、戸建分譲地2物件で住戸・街並みのVRを活用

相鉄不動産が戸建分譲住宅の販売においてスタイルポートのVR内覧システムを活用した。
住宅一棟のみならず街並みまでも再現しており、竣工前からユーザーの興味、理解度を深めている。

スタイルポートが開発、提供する3Dコミュニケーション・プラットフォーム「ROOV（ルーブ）」。「ROOV walk」はクラウド型のVR内覧システムで、竣工前の新築住宅の室内空間のイメージを把握するのに適しており、これまで多くのマンションや分譲住宅などの販売で活用されてきた。専用のアプリケーションやデバイスが不要で、インターネットに接続できれば、いつでも、どこでも、かんたんにVR内覧を行うことができる。Webブラウザで3次元グラフィックスを高速に描写、フルウォークスルーの高精細な3DCGが大きな特徴だ。

さらに、先には戸建分譲住宅地全体の街並みをデジタルツイン上でウォークスルー体験ができる機能も加わった。一住戸の内観だけでなく、物件一戸一戸を実際に歩きまわる仮想体験ができ、土地の高低差や建物の重なり、旗竿地などを現地に行くことなく確認できる。

この新たな機能を初めて導入したのが相鉄不動産（神奈川県横浜市、鈴木正宗社長）である。

完成前販売はVRで興味を高め
最終的に現地で総合判断

相鉄不動産は、横浜の地で100年の歴史を持つ、相鉄グループの不動産会社としてマンション開発、戸建分譲、賃貸住宅など広く事業を展開している。民間分譲住宅地の開拓期である1948年にいち早く住宅地事業に取り組み、相鉄線沿線や神奈川県下を中心に、これまでの開発面積は512ha、およそ3万8000戸を超える住宅地・一戸建ての開発実績を積み上げている。分譲戸数を問わず街並みを重視した開発が同社の大きな特徴だ。

同社は、マンション販売において以前から「ROOV walk」を活用してきたが、戸建分譲住宅の販売で採用したのは2022年に販売した「グレーシアライフ新綱島」（横浜市、全9区画）が第一号となる。コロナ禍での販売ということから、非対面でリモートを介しての販売を模索するなか「ROOV walk」を採用、その実績を踏まえて、「グレーシアライフ青葉市が尾」（横浜市、全12区画）、「グレーシアライフ横浜いずみ中央」（横浜市、全7区画）で「ROOV walk」を採用した。両物件とも「ROOV walk」で一住戸と、街並みを再現した。ともに住宅や街並みが完成する前から、現地に行かなくてもイメージしてもらえることを狙っての導入だ。「従来はモデルハウスができてからの完成売りが多く、説明と同時に現地を見ることができた。『市が尾』や『いずみ中央』のように完成前の販売では、VRで興味を高めてもらい、最終的には現地を見て総合的に判断いただく販売フローが有効」（木村課長代理）と考えた。

VRを見たユーザーからは「空間的なイメージがつかみやすく参考になった」という声が多かったという。特に街並みのVRについては「これまで2次元の図面だけであったが、3次元でみることで隣棟間隔や駐車場の広さ、日当たり、敷地の高低差などがはっきりと分かる」（橋本課長代理）ことが評価されたようだ。特に相鉄不動産は街並みを含めた開発が大きな特徴であり、「色々なアングルから俯瞰して、街並みを一体的にみることができる」（横山氏）ことは大きな武器となった。

「グレーシアライフ横浜いずみ中央」の現地とVRの比較画像

また、「接客時だけでなく、URLを送ることで自宅に帰ってスマホでも簡単に、じっくりとVRを見ることができる」（木村課長代理）こともユーザーから評価されたという。
さらにホームページなどに掲載するCG画像の作成の参考になるという思わぬ副産物も。CG作成時は制作会社に具体的な画像のイメージを伝えることが重要だが、街並みを見るアングルなどをあらかじめ「ROOV walk」で確認して指示ができたという。

「いずみ中央」では、ホームページの限定コンテンツとしてROOVのVRを掲載している。第一次の集客というよりも、興味を持った人が次のステップとしてVRを見て理解を深めて現地に来るフックの役割を果たしているという。VRを見たユーザーはより理解度が増しているため、商談がスムーズに進むという効果もあるようだ。

相鉄不動産では、今回、2物件で「ROOV walk」を活用し、ユーザーの反応やシステムへの理解が深まったという。「植栽まで再現できれば街並みの魅力をさらに訴求できる」（木村課長代理）、「遠くに見える富士山まで再現できればもっとリアルに街の暮らしを感じていただける」（横山氏）など、今後、可能性を広げていきたい考えだ。