出来ることを増やしながら地域を耕しより豊かにしていく

相羽建設 代表取締役 相羽健太郎 氏

インタビュー
工務店だからできる情緒的な多角化経営とは

東京都東村山市の相羽建設は、地域工務店でありながら新築一辺倒の事業モデルから脱却し、事業の多角化に成功している。その戦略は、大手ハウスメーカーなどの多角化とは一線を画しており、地域により深く入り込み、なおかつ情緒的な価値観を大事にしながら事業領域の拡大に成功している。新築市場の縮小に伴い、大手ハウスメーカーだけでなく、地域工務店にも事業の多角化が求められる中で、今後の住宅業界のあり方を考える上で同社の取り組みは非常に興味深いものである。

相羽建設 代表取締役 相羽 健太郎 氏

──なぜ、新築一辺倒の事業モデルを変えようと考えたのでしょうか。

2010年に創業者である先代から事業継承を行った段階では、全体の売上のうち新築の戸建住宅が9割を占めるという状況でした。ここからさらに事業を拡大していくためには、事業エリアを広げていくべきではないかと考えました。

「世田谷や杉並などに進出できれば‥」と思ったのです。しかし、そのことを職人さんなどに伝えると、「遠くの仕事はしたくないなー」と言われました。

職人さんの話を聞くうちに、「工務店という仕事は土着ビジネスであり、創業地を捨てることはできない」ということを再認識しました。逆に言えば、その点こそが工務店の特徴であり、強みでもある。

それであれば、他のエリアに進出して狩猟的なビジネスをするより、我々が生まれ育ってきた地域を耕し、より豊かにするべきだと判断したのです。

しかし、経営者としては売上も確保しないといけない。中長期的に見れば新築需要は減っていく。エリアを拡大できないなら、自分達が出来ることを増やしていくしかない。単純にそう考えた結果が今の事業形態につながっています。


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